
右側の障子を開ければ縁側から濡縁、その先にあるお庭まで。
正面の障子を開けるとリビング・キッチンを見渡すことのできる室の配置に
ご主人様と一緒にこだわらさせて頂きました。
開放的な空間としての使用は勿論、自分だけの憩いの場としても
活用していただけます。
区画整理によって変わりゆく周辺の環境のなかで、おおらかに、時を経て味わいを深めていく住宅です。
建物の正面となる南側は、将来的に庭と駐車スペースとなる部分を残して道路から空きをとり、ゆったりとしたアプローチを構えられるように建物を配置しています。平屋部分の南面は、両端に設けた収納を除いて全て開口に。SE構法ならではの開放的な空間を作り出しています。
製作の格子戸を引いて玄関に入ると、正面にはアオダモとモミジの見える大きな窓があります。左手、手前のガラス戸を引けば土間を通って、奥のガラス戸を引けば直接リビングへとアプローチできます。勾配天井、現しにした登り梁、土間の中央に据えられた薪ストーブ、南の全面開口がリビングの大空間を特徴づけています。
開放的な、リビング・土間・ウッドデッキという構成が、奥へ行けば、落ち着いた、和室・縁側・濡縁という和の構成となり、その両者の間の4枚の襖を引き込めば、一体の空間として使うことができます。
水回りは北側に集約され、キッチンを中心とした回遊できる家事動線が形成されています。床には全面、肌触りのいい杉の無垢材を用いています。杉は柔らかいため傷がつきやすいですが、その一つ一つが味となっていきます。外観も、平葺きの黒い屋根と鏝押えの白い壁を、大きく張り出した軒、軒裏の杉、格子という和のデザインコードを用い、落ち着きのある姿にまとめました。