プライベートバーを併設した葉山のウィークエンドハウス


ブビンガの一枚板カウンターが主役のワインバー。テラス席は緑に囲まれ開放的に、室内は間接照明を生かした重厚感のある空間にまとめた。グラスを並べた棚もライトアップし華やかに。

長いカウンターには7席用意。テラスのテーブル席を合わせると食事も楽しめ、ちょっとしたプライベートパーティにも対応できる、ゆとりのある空間を心掛けた。ゆくゆくはソムリエやバーテンダーを招いて勉強会をする計画もあるそう。

日中の軽やかな光にも夜の落ち着いた光にも合うタイルを部分的に張り、アクセントに。友と語らうには最適の場。

IHとガスレンジの両方をそれぞれ設置。アイランドキッチンを中心にみんなで調理を楽しむためのゆとりある動線にした。

大開口からも、東側にあるキッチンの窓からも光と風が通り抜ける心地いいスペース。

食事やワインを楽し むための別荘ということで、LDKの大部分の面積をダイニングキッチンにしてメリハリのあるレイアウトを採用した。

昼間は壁に沿ったソファ。大きなソファベッドにもなり小学生のお嬢さんが友人を招いてお泊り会を開くこともあるそう。空間を有効に使える。

海岸に続く通りに面したプライベートバー側のエントランス。シンボルツリーの大きなソテツや多様なグリーンに囲まれた庭のようなスペース。

1.LDKの脇、クローゼットの手前をセカンドリビングとして、趣味のウクレレや、お嬢さんのバイオリンのレッスンができるプライベートリビングにした。/2.寝室やトイレの壁はアンティーク調の壁紙に。ハワイのカハラホテルのようなクラシカルで落ち着いた雰囲気を目ざした。

寝室、子供室とそれぞれ壁紙を変えて、まったく違った印象にしている。

3.東側の玄関奥には船をイメージする丸窓を。壁面収納は下を間接照明にしてヌケを演出。/4.テラスとガレージスペースを確保するために、2階以上を2方向に跳ね出した設計。この複雑な形を実現するために、構造設計者は苦労したというが、耐震等級3で見事に成立させた。
昼はテラスで開放的に、夜は重厚な雰囲気となるプライベートなワインバー
夢をかなえて週末の
プライベートバーをオープン
海岸から歩いてすぐ、豊かな自然に囲まれた葉山のO邸は週末のためのビーチハウス。「葉山の土地を何年も探していたのですが、なかなか縁がなく、やっとここに出合えました」と奥さま。もともとはこの界隈に並ぶヨットスクールの倉庫で、そのためスクエアではない変形地だった。「週末を過ごす邸宅なので、光や風の通り具合を重視して、眺望のよさと開放感を優先した、いわゆるリゾートホテルのプライベート版ととらえました」と、設計を担当した可児義貴社長は語る。湘南の海辺に至る主要な歩道沿いに立地することから、街並みに貢献できるよう建物全体を白でまとめ、シンボルツリーには巨大なソテツを植えた。レストランがオープンしたのかと声をかけてくる通行人も多いという。それもそのはず、1階はホームバーの枠を超えた本格的なワインバーなのだ。「自分のバーを持ち、仲間をもてなすことは長年の夢でした」とOさん。ワインバーに採用したブビンガの一枚板カウンターは、木場の倉庫で住み手が自ら選定した逸材。重量が300㎏もあり、6人の職人が力を合わせて搬入したという。「簡単なお料理も提供できるよう奥にミニ厨房もつくりました」とOさん。先日も親や兄弟を招き、メニュー表まで作成し、懇親会を開いたのだそう。
パーティ会場という発想の
楽しみをシェアするキッチン
3階は奥さまの夢をかなえたパーティ会場になるキッチン。「みんなで楽しく調理し、集う場所にしたかったので、3~4人が同時にキッチンで作業できるような設計にしてもらいました」と奥さま。プロ級の料理の腕をさらに磨くべく、先生を招いてレッスンを企画したり、それぞれのレシピを持ち寄って語りながら料理や試食を楽しむサロンのようなキッチンとなった。「ダイニングを広くとったので友人と集まってヨガをするなど、スタジオとしても活用できるんですよ」と奥さま。コロナ禍を経て、自宅で豊かに過ごす工夫をするようになったという。機能的なキッチンなので、プロの料理人に依頼し、自宅での食事会を催すことも。3階はダイニングキッチンをメインとしているため、ソファベッドとなる壁面のソファやデッドスペースを生かした書棚を設け、リビングはコンパクトにした。
葉山ライフをより
豊かにする週末の家
「ベッドルームのイメージは、ハワイのリゾートです」と奥さま。浴槽、寝室などのプライベートな空間を配した2階は、バーともLDKともまったく異なるイメージ。「2階の個室以外の床は600角の大判タイルで統一しています。白の塗壁、布クロス、染色合板と、場所場所で壁も異なりますが、それぞれが量産品の工業製品ではなく、自然の素材を生かした仕上げ材なので、経年変化で味わいが増していくんです」と可児社長は語る。年月を重ね、よりよい味わいとなったときに、この週末の家は真に完成するのだろう。
「葉山暮らしで都会では出会えなかった方々と交流するようになり、とれたての野菜や魚介類など自然の恵みを享受できるようになりました」と奥さま。お嬢さんの学校がお休みのときには、ほぼこの別荘で過ごし、いずれは移住したいと語る。
週末住宅だからこそかなった夢の実現。自然と共に暮らすことで真の豊かさに気づき、将来のビジョンが見えてくる──。理想の家には、そんな力があるのかもしれない。
取材・文/間庭典子
O邸
設計施工 | クウェスト | 所在地 | 神奈川県三浦郡 |
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家族構成 | 夫婦+子供1人 | 敷地面積 | 124.03㎡ |
延床面積 | 176.10㎡ | 構法 | 木造SE構法 |