天井高7.4mの倉庫スケールの住宅








天井高7.4mの
倉庫スケールの住宅
倉庫のようなラスティックで
広々とした空間を実現
Iさんご一家が最初にイメージしたのは「大きな倉庫のような家」。端正さよりも機能美を追求した工業デザインのような、シンプルで無骨なデザインを望んでいた。「汚れを気にせず、生活の中でついた傷が『味』になるようなラフなロフトスタイルが理想でした。けれどどのハウスメーカーにもその感覚がなかなか伝わらず、もどかしく感じていました」と奥さま。展示場を訪れるたびに、「傷が味になる家」と繰り返していたため、「パパとママは汚い家に住みたいんだって」とお嬢さんが幼稚園で広める始末。また、倉庫のように広々とした空間が条件だったが、「木造では無理」とどこでも即答された。
そんなとき、ふと思い出したのが、ご夫妻が大好きなインテリアショップS.H.S鳥屋野店だった。「インテリアのセレクトショップなのですが、ここがまさに倉庫を改造したスペースでした」と奥さま。「このショップの中にショールームがある、roomz 星野建築事務所さんに相談してみたら、『SE構法なら天井高7m以上の大空間も可能ですよ』とあっさり言われ、拍子抜けしてしまいました」とご主人も振り返る。あきらめかけていたロフトスタイルの住宅が手に入るかもしれない、と期待が高まった。
自然のエネルギーを味方にし
新潟の過酷な気候条件をクリア
だが周囲には「天井高7.4mの吹き抜けなんてとんでもない」と猛反対された。「冬は寒く夏は暑い土地なので、エネルギー効率を考えると吹き抜けがある家は稀です。実際、住むまでは不安もありました」とご主人。けれどもこの家で初めての冬を体験したとき、今まで住んでいた家とは比べものにならない暖かさに驚いたという。「断熱窓の性能を生かし、空気の通り道を考えた窓の配置などで自然のエネルギーを利用すれば、快適に過ごすことは可能です」と設計担当の星野貴行さんは自信を持って答える。玄関には、アメリカ東部のタウンハウスに使われるような二重扉を採用して冷気を遮断。外扉と内扉の間というつなぎとなる空間があることで気持ちの切り替えにも役立つ。「玄関を開けたときに奥まで見渡せ、帰宅の度に感動する眺めにしたかったんです」と奥さま。のびのびとしたリビングダイニングには自然に人が集い、子供を含め20人以上でパーティを開いたこともあるそう。耐久性が低下しないよう三角天井には登り梁を細かく設置し、耐震等級を最高クラスで取得した。
その一方で、内装はあえてラフに仕上げた。各部屋のドアはすべて造作。自然な木目を生かし、白壁はムラを残して漆喰風に。また、正面のレンガは、大量に購入すると時折紛れている濃い色のレンガを無作為に配置。自然なばらつきを出している。
この家が立つ土地は、もともと奥さまが生まれ育った場所だそう。おばあさまが住んでいた家を建て替えた。「古いものが自然に馴染む空間が夢でした。アメリカンヴィンテージの雑貨もこの家にはマッチし、コーディネイトがより楽しくなりました」と奥さまは笑顔で語る。調理用の籠など、代々お豆腐屋を営んできた家族が愛用してきた道具は、今も日常的に使っている。
コストマネージメントまで
担当窓口がしっかりサポート
理想の家づくりの陰の功労者はroomz担当窓口の伊藤孝宏さん。家具の選び方から造作家具のデザインまでこまやかにサポートしてくれた。予算内に収まるよう、コストマネージメントなど、頼みにくいことにも対応してもらったそう。「1階の床材はシックで落ち着いたメルバウに、2階はラフな雰囲気のメープルを提案しました」と伊藤さん。ほかにもインダストリアルデザインのシンプルなスイッチやライトを取り入れるなど、全体のバランスを考えた結果、コストの削減にもなった。
機能、デザイン、予算。「経験に基づくアドバイスのおかげですべてにバランスのいい家になりました」とご夫妻。100%満足できる家となった。
取材・文 間庭 典子
T邸
設計 | 星野貴行 | 施工 | 株式会社星野建築事務所 |
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所在地 | 新潟県新潟市 | 家族構成 | ご夫婦+子供三人 |
延床面積 | 123.63 ㎡ | SE構法2階建て |