安らぎと洗練が共存した「和」の時間を楽しむ家


3方向を開口として庭からの光を取り入れている明るいLDK。住宅地のため高い塀で目隠ししているが、それもデザインの一部ととらえた。

エアコンなどの機器類は、ウォルナット材のキャビネットの一部としてカバーした。モノトーンのインテリアでまとめた、大人の空間となった。

地階から1階への階段は空間と調和する無垢材に。2階への階段はスケルトン階段を採用。ガレージから直接荷物を運べるリフトも設置した。

エントランスは段差を極力抑えて広がりを演出。地階はRC造、1階と2階は木造SE構法で設計。ガレージ側から直接、玄関に通じる動線も設けた。

天井高を高く取りたかった趣味のゴルフを練習できるスタジオと、寝室やゲストルームの空間には段差を付けている。その結果、1階のリビングの天井も3mの高さが実現。

風合いのある大理石調のアイランドキッチンは、安全性に配慮してIHをセレクト。

幹線道路に面し、ビルトインガレージのあるエントランスを地階とし、RC造。1階、2階は各所に木のぬくもりが感じられるSE構法を選択。開口の大きな1階全体をルーバーのような木材で囲み、落ち着きのある外観に。

ライトアップされたエントランスの様子。打ち放しのRCやスチールなど硬質な素材をあえて見せてシャープにまとめた。

夕刻にはギャラリーかバーのようなラグジュアリーな印象の外観に変わる。

子供たち一家が滞在するときにはゲストルームとして、通常は仏間、趣味のための空間として活用しているLDK横の和室。庭の緑が目にまぶしい。

本格的なシミュレーションゴルフスタジオを2階に設置。ゴルフ仲間を招いてバーチャルラウンドや練習に励むことも。

1.2./庭の各所に 昔の邸宅の庭園にあった石像や灯籠を配置した。

3.1階の階段奥の空間を大きな開口にして採光。坪庭として美しい眺めを楽しむための空間にした。/4.限られた空間をうまく生かした庭園スペース。目隠しの塀を圧迫感のない木材とし、石を敷き詰めて植栽の手入れをしやすくしている。エクステリア、造園デザインは&andに依頼した。
落ち着きのある色調に包まれたLDK
風格と安らぎを感じる
次の世代へと受け継ぐ邸宅
夫婦二人でゆったりと暮らすSさんの要望は、開放的なLDK。独立した子世帯家族の孫たちと集う場として、シームレスで明るい大空間だった。「階段などの動線をあえて見せ、壁や扉で遮断しないプランを提案しました」とビルド・ワークスの設計担当の河嶋一志さんは語る。「先代から土地を引き継ぎ、さらに次の世代へとつなぐため、次世代まで安心して暮らせる強固な住宅設計が求められました」と河嶋さん。さらに間取りも将来的に子世帯に引き継いだ後まで、十分な部屋数が取れるように計算。和室は子供や孫たちが気軽に宿泊できるゲストルームとして活用している。
空間のデザインに関しても、どの世代にとってもコーディネートしやすいシンプルシックな空間に仕上げ、「慎ましやかで雅であること」をテーマとした。シンプルで清潔感のある大空間に調和するのは、落ち着きのある色調の無垢材。キッチンと一体化したダイニングテーブルやキャビネットを造作し、必要最低限な家具で暮らせるよう設計している。黒のスチール階段やリビングのタイル貼りの壁、キッチンの大理石など硬質でシャープな素材をアクセントに。床材は掃除が簡単な大判タイルを採用。LDKを囲むように三方を開口にして、近隣からの目隠しの木の囲いは風景の一部として庭になじませた。「各所に配した石像や灯籠は昔の家の庭にあったものです」とSさん。家族の歴史を受け継ぐ、風格のある庭となった。
最上階のゴルフスタジオなど
趣味を楽しむ設備も充実
大半が地中に埋まる地下のエントランスホールとガレージをRC造とし、1階のLDKや2階はSE構法部分として一体で構造計算。最高の耐震等級3を実現。RC造と一体化することで、地下のエントランスから外に出ずに、そのまま上階に上がることを可能に。シャープでスタイリッシュなエントランスはまるでギャラリーのような雰囲気となり、ライトアップされる夕刻にはひと際、目を引く。ドライブが趣味のSさんが心地よく愛車のメンテナンスを行う時間を過ごせるよう、余裕のあるスペースにした。
さらに夫婦共通の趣味はゴルフだという。そこで奥さまからの強い要望もあり、本格的なシミュレーションゴルフスタジオを最上階に設置した。ここではゴルフ仲間とバーチャルラウンドをいつでも楽しめる。LDKとはあえて離して計画し、奥さまの寝室と上下に重ねて配することで音の影響を最小限に抑え、いつでも気兼ねなく練習できるように配慮。天井高3mの確保が必須となる設備だが、2階を一部スキップフロアにした複雑な構造が実現できたことで、LDKにも十分な天井の高さをとれるようになった。天井高のある部屋を複数設けても、構造的な安全性が保たれるのがSE構法の利点である。
自宅での時間をより豊かにする
アクティブと癒やしの共存
離れて暮らす家族や友人と語らい、趣味に熱中するアクティブな時間と、夫婦や一人で過ごす豊かな癒やしのひととき──。自宅で過ごす時間が圧倒的に増えた今、それぞれを両立させることがこれからの家造りの課題となるだろう。「コロナ禍以降、住まいに『休息の場』を求める方が増えました。安らぐ空間と自宅でも趣味を楽しめる設備を考慮するようになり、プランニングの意識が少し変わりましたね」と河嶋さん。S邸は、「休息の場」を体現した邸宅となった。
取材・文/間庭典子
S邸
設計施工 | ビルド・ワークス | 所在地 | 京都府京都市 |
---|---|---|---|
家族構成 | 夫婦 | 敷地面積 | 233.55㎡ |
延床面積 | 269.01㎡ | 構法 | RC造+木造SE構法 |