植物園の中でくつろぐような吹き抜けを生かしたコンサバトリー


天井高3.85mのコンサバトリーは、大きな開口から採光。気密性、断熱性、防音性に優れた室内のため温度調節がしやすく、年中快適な環境が保たれる。

L字型にコンサバトリーを囲む2階のLDK。構造柱は外壁にも使用しているタイルを採用した。まるで公園の中で過ごしているような心地よさがある。

天窓からの光が差し込み、さらに明るい室内に。構造を強化している筋交いブレースは、垂れる形状の緑を吊ることにも利用している。目線を上へ向けたときもグリーンを楽しめるようにした。

グレイッシュなタイル、大きめのヘリンボーンパターンのオークの床材で、あたたかみのあるリビング。階段まわりは、黒のスチールの手すりで引き締めた。3階は、ゲストルームを兼ねたプレイルーム。

外部と内部をつなぐコンサバトリーには、アウトドアと兼用のアカプルコチェアを選んだ。あえてモノトーンの濃淡のスタイリングで変化をつけている。

コンサバトリーから十分に採光できるため、ダイニングキッチンは日中は常に明るい。小窓と高窓が風の通り道に。

ダイナミックな空間にはバンクーバー発のブランド、ボッチのアーティスティックな照明を。球体にはくぼみがあり、エアプランツなどを飾ることもできるそう。

タイル貼りの構造部分が印象的なLDK。調理しながらフロア全体が見渡せるキッチンで、実際の天井高より高く感じさせる視覚効果も。

ダイニングテーブルは、2枚の一枚板を合わせた個性的なデザイン。ヘリンボーンに組んだスタイリッシュなオーク材のフローリングなど、木のぬくもりに包まれている安心感がある。

靴を履きやすいようにゆとりを持たせてベンチを造作した家族用と、2階のLDKへ導く来客用の2つの動線を設けた玄関。

1.3階には、お孫さんのた めのプレイルームがある。子世代が受け継いだ際、2つの個室にできるようドアや収納は線対称に設計。/2.Yさんのプライベートルームは寝室、書斎を兼ねた空間になっている。作業がしやすい広いデスクとコレクションのブリキの玩具が飾れる書棚を造作している。

奥さまの寝室は2階に。ライトブルーを基調にまとめ、旅で集めた想い出の雑貨などを並べる飾り棚を設けた。コンサバトリーと同じフロアなので、植物のケアもしやすい。

3.ゲストも使う機会が多いLDKの水回りはゆったりと。間接照明が映えるタイルを採用している。/4.浴室、脱衣所、洗面、ランドリー、サービステラスへの家事動線を集約。浴室は視界がクリアなガラスで仕切り、ヌケのあるスペースに仕上げた。

正面上部右の大きな開口がコンサバトリーの部分。ビルトインガレージとは別に、オーバーハングにより駐車スペースが確保できるのは、SE構法ならではのメリットである。
ダイナミックな構成とスタイリッシュなインテリアが心地よい空間
内部と外部を自然につなぐ
快適なコンサバトリー
LDKと連続するコンサバトリーが特徴的なY邸。コンサバトリーとは、18世紀ごろに英国で広まった住宅様式。“Conserve(保存する)”という英語に由来し、当時のイギリス人が南国から持ち帰った果物の貯蔵庫が発祥だという。その後は、園芸を楽しむ趣味的な空間を指す呼称となった。テラスなどの外部空間とは異なり、室内に設けられているため気密性や断熱性があり、植物が育ちやすい環境を維持しやすい。さらに防音性に優れ、外にいるような感覚もありながら静かにリラックスできるのも特徴。Y邸では、そんなコンサバトリーを現代的にアレンジし、LDKと一体化させた。「夫婦だけの生活となり、好きなものに囲まれ、植物を愛で育てる家にしたかったんです」と奥さま。このコンサバトリーも奥さまの発案。「温度や湿度が保たれ、植物が枯れることなく茂るので、暑さや寒さを避けてその都度、グリーンを移動する苦労がなくなりました」と奥さまは微笑む。
次世代に引き継ぐことを考え
自在に変貌するプランを採用
1階のプライベートルームは医師として多忙な日々を送るYさんが休息するための空間。トレーニング後にシャワーを浴び、ゆっくりとコーヒーを淹れて新聞を読むのが毎朝の習慣だという。寝室、書斎、ジムを兼ねたこの部屋は、そんな一連のルーティンを考慮した動線になっている。
また、2階のインテリアは奥さまがコーディネート。レンガ調のタイルは、室内の壁や構造部分、さらに外構にも採用した。「年を重ねた私たちには深みのある色のほうが合うと思い、落ち着きのあるグレーのタイルを選びました」と奥さま。水栓金具はビンテージ調のブロンズを。天井高3.85mを有するリビングダイニングには、アーティスティックなペンダントライトをセレクトした。また、3階は遊びに来るお孫さんのプレイルームとして活用。絵本やおもちゃが並ぶこの部屋は、お孫さんもとてもお気に入りの場所で、ここには旅が好きな夫妻が各国で見つけた雑貨も飾っている。「次世代が引き継ぐことも考えて、プレイルームにはドアを2つ設けて、将来は個室として仕切れるようにしました」と奥さま。現在を楽しみつつ、未来を見据えたプランでもある。
デザイン性の高さと耐震性を
同時に約束するSE構法
Y夫妻は設計を依頼する際、大空間や洗練されたデザインを望んでいたものの、なによりも耐震性や家の性能を重視していた。「ご主人からの質問はただひとつ。『建築について、どう考えていますか?』というものでした」とroomz 星野建築事務所の星野貴行社長は振り返る。この質問に対して星野社長は、日本の住宅の約80%が構造計算を行わずに建てられるなかで、木造建築はSE構法を標準とし、1棟1棟、構造計算を行い、高性能を実現していること。さらに100年住み継ぐ住宅への思いを語ったという。
その結果、Yさんからの「お任せします」という全面的な信頼を得られた星野さん。例えば実際に、この住宅の外壁には水蒸気の移動を妨げない透湿モルタルシステムを導入した。断熱材に直接、モルタルを塗ることで、断熱材と外装の間に隙間がなくなり、断熱性能が長く持続する。「空気を通しつつ水を弾く、上質なダウンジャケットのようなものなのです」と星野社長。「デザイン性の高い空間こそ、高性能であることが必須である」という信条のもと、Y邸の大空間は常に快適に保たれている。まさに洗練と安心感を兼ね備えたサステナブルな住宅が実現した。
取材・文/間庭典子
Y邸
設計施工 | roomz 星野建築事務所 | 所在地 | 新潟県新潟市 |
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家族構成 | 夫婦 | 敷地面積 | 191.30㎡ |
延床面積 | 249.54㎡ | 構法 | 木造SE構法 |