ガレージは秘密基地! ヴィンテージカーが主役の家


1955年式コルベット・ベルエア・ノマド、1970年式ホンダ・TNⅡ360などのヴィンテージカーが並び、壮観の車庫内。1974年式ホンダ・モンキーバイクも愛用。

メンテナンス作業に没頭し、くつろぐこともできるガレージ内部。シャッターを開けると芝生の広がる外部へと続き、アウトドアリビングの一部のように活用している。

手前で存在感を放つ1955年式のコルベット・ベルエア・ノマドは希少な初代モデル。ガレージの壁はOSBで、集めた看板をギャラリー感覚でディスプレイ。

住居空間は奥さまのセレクトでぬくもりを感じるカフェスタイルでまとめている。LDKには各所にグリーンを配して、さわやかに。

1.白木やタイル、ステンレスなど、軽やかな素材を組み合わせたキッチンエリア。食器などの収納はすべて目線より下のキャビネットに集約し、壁面をすっきりと見せている。/2.ヴィンテージコレクションを保管し、ディスプレイしている2階のホビールームは結露の心配がなく、湿気対策もしやすい木造でクロス張りを選択した。

3.ガレージ内には住居空間へとリンクする玄関と、ホビールームへと直結するダブルエントランスに。住居エリアと完全に分け、雰囲気がまったく異なる空間をつくり上げることに成功した。/4.ホビールームへと導かれる階段からすでにその世界観を感じさせる空間演出に心躍る。ガレージとホビールームは、Kさんの趣味を追求。

ガレージの壁面にはコラージュするように好きなヴィンテージアイテムを組み合わせゲストの目を楽しませている。

硬質なガルバリウム鋼板とナチュラルな天然木サイディングとのバランスが絶妙な外観。
大好きなヴィンテージカーやコレクターズアイテムに囲まれ、愛でるための特別な場所
「この車のためにこの家を建てました」と、笑いながら話してくださった住み手のKさん。K邸は、価値ある車やヴィンテージコレクションが主役級の存在感を放つ住まい。ガレージは、いわばKさんの“秘密基地”。「ゆったりとしたビルトインガレージが条件でしたので、木造でありながら十分な広さを確保できるSE構法を提案しました」と、Kさんから依頼を受けたアムキットホームの濱谷藍子さんは振り返る。SE構法を採用することにより、柱や壁などに頼ることなく、46.37㎡の大空間のガレージが実現した。
庭と一体化するこの開放的なガレージには、コルベット ベルエアの初代モデルなどをはじめとする美しいヴィンテージカーが並び、ショーケースとしての役割も果たす。年代物のゲーム機やアンティークの椅子や照明など、好きなものを集めた空間だ。ヴィンテージデニムやスニーカーのコレクターとして知られるKさんが海外で買い求めた荷物が届く際は、倉庫や作業場としても活用される。また、ヴィンテージ好きの友人が集い、アウトドアリビングのようになるときも。実にさまざまな用途を果たす多機能なガレージ。壁も汚れを気にすることなく、棚を設置したり、看板を飾ることも自在な不燃性木質ボード(OSB)を貼った。
シャッターは間口10m、3台分のガレージでも対応できるという金剛産業の「ロールバード」をセレクトした。一般住宅に使用されるには高価で車1台分くらいのコストになるこのモデル。アルミ製のシャッターは、軽くてさびにくく、防火性にも優れている。何よりも外観と調和し、スタイリッシュであるところが採用理由だったという。「シャッターが格好悪いと台無しですよね(笑)」とKさん。デザインに一切の妥協はなかった。
ガレージ以外にも価値のあるデニムやスニーカーなどのコレクションを守るため、湿度などのコンディションをいかに維持するかもK邸の課題だった。そこで結露の不安がある鉄筋コンクリート造ではなく木造を選び、あえて打ち放しのコンクリートのだまし絵のようなビニルクロスにして遊び心のある空間デザインに。クロスは気分に合わせて張り替えることができるメンテナンス性の高さ、コストパフォーマンスがよいというメリットなども考慮されている。このように抑えるべきところは抑え、シャッターなど住まい全体のデザインに強く影響を与える部分には惜しみなく予算を使う──。コストコントロールを徹底させて、自分たちが思い描いた空間を実現させている。
もちろんデザイン性だけでなく、機能性も高いK邸。ガレージからの入口は、ダブルエントランスになっている。正面玄関ともリンクした住居エリアと、2階のホビールームへ続く二つの入口が完全に分割している。LDKや寝室、浴室などがある住居エリアは奥さまがインテリアコーディネートを担当。白い壁と無垢材を基調にした軽やかな雰囲気で、キッチンの壁は白のタイルでクリーンにまとめた。ご主人の趣味によるラフでメンズライクな2階のホビールームとは違うスタイルだが、二世帯住宅のように動線が完全に分かれており、部屋ごとにそれぞれ違った個性と魅力を放っている。「生活空間と趣味空間、仕事場などを分断することで気持ちも切り替えられます。これからはこういった二つの機能をもつ住まいが増えるかもしれませんね」と濱谷さんも予測している。
趣味を極めた秘密基地と心地いいカフェ風のリビング──。K邸は、まったく違うテイストを両立したガレージハウスとなった。
取材・文/間庭典子
K邸
設計施工 | アムキットホーム/東産業 | 所在地 | 三重県四日市市 |
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家族構成 | 夫婦 | 敷地面積 | 447.99㎡ |
延床面積 | 190.87㎡ | 構法 | 木造SE構法 |