シェアオフィスとしても機能する 波打ち際のヴィラ


早朝の波乗りを楽しんだ後や、デスク作業後のショートブレーク時などに自然と人が集う庭やテラス。シンボルツリーのシュロがリゾート気分を演出。

アフター5は仕事やサーフィンで疲れた体をリラックス。思い思いの時を過ごすラウンジに変身。道を挟んだ向こうがビーチという立地

風が通り抜けるLDK。天井高3.6mの梁のない大空間が実現したのはSE構法ならでは。デザインの自由度が高まり、規格外の広さを確保できた。

ダイニングはシェアオフィスとして使うときには作業場となっている。サーフィンをするうえで波の状態がよい日には、複数人が集まることもあるという。

コンパクトなキッチン。その右手奥は、パントリー。左はワインセラーのサイズに合わせて棚を造作したホームバー。

LDKに隣接したミーティングコーナーは、オンライン会議の場としても活用。壁面に飾ったのは、音を吸収し、防音効果もあるクヴァドラのオブジェ。

敷地の南側が大空間のLDK。水回りを配した北側の2階部分を家族だけが使うエリアとした。長いテラスは、自然に皆が集うベンチとしても活用。

ビーチからシャワーで体に付いた砂を落とし、そのまま浴室へと移動できる動線に。浴槽の目の前にシンボルツリーのシュロがある開放的なプラン。

脱衣所からもウッドデッキや庭にそのままアクセス可能。愛犬が過ごす場所でもあるため、余裕があるスペースにした。

1.シュロの木の下に設けられた屋外シャワー。サーファーの視点で、いつでも気軽にサーフィンを楽しめる動線が考えられている。/2.外部収納を充実させて、無駄のないすっきりとした玄関。シューズケースの奥には荷物も一時的に置けるベンチを造作。

3.母屋に増設したサーフボードを保管するためのサーフガレージ。外観やロケーションになじむ杉板張りで仕上げを施し、ナチュラルなデザインに。/4.平日に通う会員のボードやウェットスーツもすべて収納できる。バーベキューセットやアウトドアチェアのようなかさばるギアも保管できる余裕があるので、整頓がしやすい。

幹線道路に沿った564.08㎡という敷地面積を生かし、建物は敷地の奥に計画。右手に見えるのが納戸となるサーフガレージ。
テラスや庭に直結する外に開いたLDKとバスルーム
サーフ天国、九十九里浜の
波を100%楽しむための拠点
2021年に東京2020オリンピック・パラリンピックのサーフィン競技会場となった千葉県九十九里浜。そのビーチの目の前に立つS邸は、サーフィンを楽しむためのウィークエンドハウス。平日は会員制コワーキングスペースとして、Sさんの知人たちにも開放されている。
「ビーチからそのままアクセスできるような動線、潮風を感じられる大空間、そして音響に優れたホームシアターを設けることがSさんからのご要望でした」と話すのは、TIMBER YARDの設計担当の梶ヶ谷智之さん。梶ヶ谷さんは、Sさんのこれらの希望をかなえるには、堅牢かつ大開口も実現しやすいSE構法が最適であると判断した。そこで1階の大きな面積を占める部分を共有スペースとするプランを提案。完成後は、昼間は作業に集中できるシェアオフィス、夜になると映像や音楽を楽しむラウンジという2つの顔をもつリビングダイニングとなった。また、ホームシアターとなるリビングや、作業場でもあるダイニングのスペースを十分に確保するために、キッチンは西側に寄せて、コンパクトにまとめた。会員の共有スペースであるため機能的なパントリー、本格的なワインセラーを備えたホームバーをキッチンに隣接させる形で設置。そしてLDKの一角には、さまざまな働き方に対応できるミーティングルームが。引き戸を閉めることで個室になるため、オンライン会議もストレスフリーで行える。さらに内部と外部をつなぐウッドデッキもユニーク。2段のステップを設けて、ベンチのように座ることもできるようにした。パーソナルチェア、ベンチ、アウトドア用のディレクターチェアなどを配せば、自在に居場所が生まれる。
ビーチから直行できる
開放的なシャワー&バスルーム
また、1階の共有スペースには、半露天のような浴室も設けられた。バスルームと脱衣所、ランドリーの間仕切りはガラス扉で、ヌケも感じられる。「目の前がビーチなので、ウェットスーツを脱いで庭でシャワーを浴び、そのまま浴室へとアクセスできる動線にしました」と梶ヶ谷さん。会員全員のボードやアウトドア用ギアを収納できる倉庫、サーフガレージを玄関脇に。「サーフボードを立てるスタンドは一段高くしています」とサーファーならではの視点でプランニングした梶ヶ谷さん。完成後は、自身もここの会員になった。「いい波が来たらすぐに海へ行ける環境。理想的なワーケーションですね」と語る。実際にこのエリアは最寄駅とのアクセスも便利。2拠点生活をする層も増え、オフィスとしての機能を備えたサーフハウスの需要は高まっているという。
オフとオン、週末と平日を
完全にゾーニングしたプラン
この住宅のプランには、Sさんの考え方やライフスタイルが見事に反映されている。寝室やクローゼットなど、家族のためだけに必要な要素は2階にコンパクトに集約。平日、コワーキングで集うゲストと家族用の動線は完全に分けられているため、互いに気にならない。また、週末はSさんの愛犬と共に過ごすことを考慮し、脱衣所のスペースはゆったりと計画。庭は、ドッグランにも活用できる十分な広さが確保されている。
趣味を満喫しつつ、仕事にも打ち込むことができる誰もが快適に過ごせるサーファーハウス。海辺のロケーションに立つこのヴィラは、デザインの自由度が高いSE構法だからこそ実現した。
取材・文/間庭典子
S邸
設計施工 | TIMBER YARD | 所在地 | 千葉県長生郡 |
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家族構成 | 夫婦+子供2人+犬1匹 | 敷地面積 | 564.08㎡ |
延床面積 | 115.14㎡ | 構法 | 木造SE構法 |