角地を生かした、日の降り注ぐ住まい


一人の時間を過ごすときには広めのバルコニーと接した3階のセカンドリビングへ。コーヒーテーブルはフリッツ・ハンセンの名作、リトルフレンド。

リビング階段は日の光を感じられる窓際に配した。スチールの手すりもホワイトを選び軽やかに。大開口から十分な自然光を確保でき、昼間は照明が不要。

駅にも近い住宅密集地のため、庭の代わりとして3.5m×2.7mのルーフバルコニーを3階に設け、日光浴ができるようなスペースに。アウトドア用のチェアだけれどシックなグレーのラフマを選んだ。

玄関にはフリッツ・ハンセンのチェアを置き、ギャラリーのようなスペースに。外壁と同じタイルを取り入れ、大きなFix窓から光を取り込む。

セカンドリビングや将来の子供室としても活用できる3階奥の予備室。リーン・ロゼのパーソナルソファは、一人の時間を楽しむのに最適。

1.メイクをする際にはドレッサーに、また、アイロンがけもできるランドリーとして兼用できる多機能な洗面スペースは広めに設計した。/2.3階の廊下空間を生かした書棚と書斎。LDKの吹き抜けに接し、目の前に大開口が広がる。書棚やデスクと北側の高窓のラインが奥行きを感じさせ美しい。現在は内科の医師であるHさんの書斎だが、将来はお子さまの学習デスクとしても活用する。並んで座ってもゆとりが生まれるように2.7mのロングデスクに。

差し込む光による影まで計算したという窓の配置。それぞれの窓の位置や用途によりガラス素材の性能を変え、冬の暖房効率を考慮している。

ご夫婦共通の趣味であるダイビング用品の収納や、自転車の駐輪場を兼ねた土間はゆったりと。グレーチングを設けており、植栽の管理などメンテナンスの際も水はけがよく作業しやすい。

吹き抜けに面した3階のスタディコーナー。南・西・北の三方向の窓から光が回るよう計算している。
日だまりの中にある無垢材に包まれた優しい家
光と影を巧みにデザインし
立地を生かした設計に
つい最近、第一子が誕生し、家族の歴史に新しいページを綴ることになったHさんご一家。陽だまりの中で子供を育めるような、健やかな住まいが理想だった。そんな家づくりを土地探しからサポートしたのがコージーライフ。インテリアショップやカフェも経営し、母体は木材問屋という木の家のエキスパートだ。「ターミナル駅からも徒歩圏内で、東南角地かつ南東が駐車場という角地。この地を見た瞬間にひらめいたのが、2階にある大開口のリビングでした」とコージーライフの内田恵介さんは振り返る。恵まれた立地を生かし、自然光だけで生活ができるよう、LDK吹き抜けの南面に大開口を配した。窓側にはリビング階段を設置し、光の中を進むような動線に。敷地いっぱいに設計したため、庭のスペースは取れなかったが、その代わりとしてゆったりと過ごせる広めのルーフバルコニーを3階に設けた。「室内のどこにいても太陽の光を感じられるプランです」と語る内田さん。北欧風のシンプルモダンなスタイルのLDKは床材から建具、造作材までオークで揃えて柔らかな印象に。天然素材が持つぬくもりを生かした。オーダーの鉄骨階段はボルト等も最小限に抑え、極力シンプルに。ステップも無垢材にし、端正だが暖かみのあるデザインを意識した。
外観のデザインも特徴的だ。上階に行くごとに張り出すように設計され、1階の駐車場スペースがすぼまったような形状なので、各フロアのはね出しが影となり、陰影が生まれる。石張りのアクセントは玄関にも取り入れ、外装と内装が調和するように。外壁は汚れが目立たない少しグレーがかった白を選択。モダンでありつつ環境になじむ外観が生まれた。
子育て期をサポートし
家族が交流できる動線に
忙しくなるこれからの子育て期を考慮して、水回りをまとめて家事動線もコンパクトに。LDK奥にあるランドリーも兼ねた洗面脱衣所はバルコニーに面し、洗濯物がそのまま干せる。ゆったりとしたスペースを確保しているので、雨の日や花粉が気になる季節には、室内干しに切り替えることも可能。ダイニング奥のデスクは、キッチンで調理する奥さまと会話しながら机に向かえるようにというHさんからの要望だったが、ちょっとした事務仕事もキッチンを離れずに作業でき、奥さまにとっても便利な機能となった。
「私からの要望は、子供達が帰宅して必ずLDKを通ってから寝室に行く動線でした」と奥さま。将来、お子様が成長し、反抗期がきたり、自立しても、そのまま個室に向かわずに、LDKでコミュニケーションを取れる間取り。そんな先のことまでイメージして設計を依頼した。
家族の成長を見守る
地に足が着いた家づくり
「時に建物は人にライフスタイルを提供することができる──そう信じて家づくりを進めています。外構もシンプルにこだわるあまりに単調になるのではなく、照明の演出や植栽で変化をつけ、毎回の帰宅時も気分が上がるようにしました」と内田さんは語る。「毎回の打ち合わせやメールのやりとりがいつも楽しみでした」と奥さま。家の詳細が決まるたびに家族の未来も見えてきた。家づくりはライフスタイルを住み手と共に築くこと。それがコージーライフのかかげるモットーだという。それを具現化したトータルプランニングの家が完成した。
取材・文/間庭典子
H邸
設計施工 | コージーライフ | 所在地 | 千葉県千葉市 |
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家族構成 | 夫婦+子供 | 敷地面積 | 101.19㎡ |
延床面積 | 137.15㎡(ガレージ含む) | 構法 | 木造SE構法 |