石使いのリビングが落ち着く街中の山荘


リビングの壁2面は城壁のような石張り。形状が違う石をパズルのように組み合わせ、横のラインをそろえた。薪ストーブはネスターマーティンS43。

キッチン&ダイニングをゆるやかにゾーニングするL字型のLDK。リビングの天井高は5m。吹き抜けに面したフリースペースには、ご主人の書斎が。

2階は吹き抜けに接したスペースを大きくとり、書斎として活用。グラフィカルなサークルデザインのペンダントライトが、大空間のアクセントになっている。

玄関側から見たLDK。階段のある北側から柔らかな光が空間全体に広がる。リビングを石張りの壁とフローリングの床にすることで、クロスと大判タイルを採用したDKと視覚的にもゾーニングした。

シンプルなスケルトン階段がLDKのヌケを演出。常に日当たりが良く、サンルームのように心地よい空間となった。植物にも好条件の環境でよく育つ。

吹き抜けからLDKを見渡せるTさんの書斎。音楽を聴いたり、ギターを演奏したり趣味の時間を過ごす場所に。大開口からの自然光が入り、日中は常に明るい。光と風が通る開放的な空間で、1階にいる奥さまと会話できる距離だが、互いの視線は気にせず集中できる。

LIXILのシステムキッチンは奥さまの身長に合わせて90㎝の高さに調節。自然な姿勢のままで調理できるとあって、今までのキッチンで感じた腰の負担が軽減され、日々の作業が快適に。テラスの木漏れ日や薪ストーブの炎など、自然のゆらぎを感じられる風景にも心が安らぐ。この採光はL字型LDKのメリット。

アプローチに高低差を設けた外観の佇まいは、夜になると複雑な陰影を生み出し、昼とはまた違った表情に。開口から柔らかな明かりがこぼれて美しい。

1.玄関の正面に地窓を設けて、アプローチの風景を取り込んだ。室内からも門の様子がうかがえて防犯上のメリットが。/2.ゆとりのある玄関ホール。ゆったりとした間口、少ない段差など、将来、必要になるかもしれないバリアフリーな動線も見越したレイアウトでもある。玄関脇に造作した普段靴用のキャビネットとは別に、収納力の高いS.I.Cを設けて納戸として活用。

リビング裏に配した夫婦の寝室。朝日で心地よく目覚められるよう北と東、2カ所に開口を設置。

プライバシーにも配慮しつつ、和の趣もあるファサード。
大空間のアクセントとなる重厚な石のあしらい
森に囲まれたログハウスのような
落ち着きのある石壁のLDK
木々に囲まれたアプローチを望み、玄関を抜けるとL字型のLDKが広がるT邸。京都駅から2駅の滋賀県大津市の駅から近く、街中の山荘のような邸宅だ。ご自宅の隣地が売り出されことをきっかけに建て替えを検討するなか、たまたま見た大輪建設の施工事例写真にひかれ、モデルハウスとして公開している大橋社長邸に足を運んだ。「外部とつながる大空間、L字型のLDKは憧れていた山荘暮らし、スローライフのイメージそのものでした」とTさんは振り返る。T邸はそのプランを踏襲し、南北、東西それぞれの方向に視線が抜ける、テラスを囲んだLDKを実現した。
リビングで存在感を放つのは城壁のような石張りの壁。天井も一部、レッドシダーの板張りにすることで重厚さを表現している。石壁には薪ストーブの蓄熱機能もあり、守られているような安心感が。柱や壁に遮られず、大空間をつくることができるSE構法の特長を最大限に生かした空間だ。
1階だけで日々の生活が完結し、
ゆるやかな生活動線の間取りに
「生活のすべてが1階フロアで完結できる間取りもTさんのご要望でした。西日が差し、京阪の線路から近い西側は閉じ、お母さま宅のある東側は庭を配して開いています。リビングとダイニングは庭に面して対角に。北の階段から南の玄関まで、連続した一つの空間である一階フロアには『風の道』が通っています」と大輪建設常務であり、インテリアコーディネーターの大橋雅子さんは解説。
リビングの奥にはご夫妻の寝室、2階の吹き抜けに面した空間にはTさんの書斎を配した。ダイニング奥には家事室兼電子ピアノを置いた奥さまの音楽室を。「それぞれが趣味に没頭していても、吹き抜けを介して会話ができるほど、時を共有できるんです」とTさん。1人の時間も、2人の時間もくつろげる工夫がある。
2階の予備室には離れて暮らすお子さんが帰ってきた際、快適に長期滞在できるよう、W.I.C.や簡易キッチンを設置し、必要があれば同居も可能なゲストルームとしている。いわば1.5世帯住宅のような機能であり、将来の状況に合わせていかようにも変容できるフレキシブルなプランとした。
今日も明日もそして未来も安心な
サステナブルな住環境を目指す
T邸は敷地や周囲の環境に最も適し、生活のクオリティ維持に努めた「サステナブル・ハウス」を目指した。高断熱・高気密による徹底した省エネと太陽光発電の高いエネルギー自給率を誇る。
「断熱性に関しては、設計段階で予想される室温変化をシミュレーションするなど、明確なデータによる裏づけに、安心しました」とTさん。温熱環境や空気の質の良さも追求し、熱を逃がさず清浄な空気を取り込める、全熱交換型の第一種換気システムを採用している。
外観も深みのあるグレーグリーンや伝統的な格子など、大津市の歴史ある街並みになじむよう配慮。「敷地の北奥に2階部分を配置して切妻屋根をのせ、1階の屋根はそこから2段下げて玄関のある南側に流しています。そのため平屋のような印象になり圧迫感がありません」と大橋さん。屋根には8kW/hの太陽光発電パネルを設置し、将来は電気自動車の蓄電装置として活用できることを見通した配線を施している。
大都市からのアクセスも良く、街中で山荘暮らしを満喫できるT邸は、10年後も快適な、未来を見据えたアーバンヴィラそのものである。
取材・文/間庭典子
T邸
設計施工 | 大輪建設 | 所在地 | 滋賀県大津市 |
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家族構成 | 夫婦 | 敷地面積 | 262.06㎡ |
延床面積 | 173.63㎡ | 構法 | 木造SE構法 |