空間をスマートに生かしたコンパクトハウス


ダイニングの南側は、アウトドアリビングでもあるバルコニーに面し、常に明るい。奥さまが見つけ、自らコーディネートしたオブジェが白壁に映える。

ソファと壁をあえて少し離してアートや花を飾るスペースとし、ヌケを感じさせるのもテクニック。リビングの東側にはバルコニーのもう一つの開口が。

1.限られた空間をすっきり見せる秘訣は隠す収納の徹底。壁面のキャビネットを北側と東側に設け、収納家具を置かない生活に。/2.日中を過ごす時間が長いリビングはバルコニーの近くにして常に明るく。LDKの床は機能的でメンテナンスが簡単なパナソニックのベリティスフロアーを採用。

北側の壁面全体には収納家具を造作。機能的でシンプルを極めたキッチンが完成した。調理しながらバルコニー越しの眺望まで見渡せるレイアウトに。

LDKの延長のようなバルコニーではランチをすることも。住宅密集地とは思えないほど、街の喧騒から遮断されたピースフルな居場所となった。長いダイニングテーブルとベンチには、広がりを感じる視覚効果がある。

白壁に囲まれたバルコニーには無垢材の飾り扉とオリーブの鉢を置いて。浴室からの動線も良いため、湯上がりにくつろいだり、朝の時間を過ごしたりするもう一つのリビング&ダイニングとなっている。ゲストを招き、ホームパーティを楽しみたいという要望に応え、夏はバーベキューパーティを開催できる空中庭園のようなゆとりのあるスペースが実現した。

LDKの一部を生かした書斎。コンパクトなスペースだが、背後が階段ホールとなっていることから開放感が生まれ、圧迫感をなくすことに成功した。

3.脱衣所、ランドリーを兼ねた洗面所は余裕をもたせ、ドレッサーとしても活用。梅雨時や花粉が舞う季節でも、室内で洗濯物を乾かせるようポールを設置。そのままバルコニーにも出入りでき風通しもよいため、湿気対策にも。/4.玄関からつながる寝室の手前に、機能的な洗面台を配置した。

1階の寝室の隣は、W.I.Cにして必要な衣類はすべて収納。東と南に高窓を設け、朝の目覚めも心地よく。近隣の住宅の植栽が望め、初夏には新緑が、秋が深まると紅葉の借景が楽しめる。

外観。敷地を有効に生かしたプランがうかがえる。
限られた敷地を心地よい空間に感じさせる広がり
青空も星空も望める
バルコニーに大きく開くLDK
駅前の住宅地にありながら開放的なLDKが心地よいM邸は、1階が49.77㎡、2階が61.27㎡。敷地面積に恵まれている長野県では、比較的コンパクトな住宅といえるだろうが、それを全く感じさせない広がりを感じられるのが魅力だ。
暮らしているのはまだ若い30代の夫婦。日当たりのいい2階をゆったりとしたLDKとし、その東と南に面したバルコニーをアウトドアリビングとして過ごせるよう17.39㎡と広めに。近隣の視線を遮断するため、バルコニーの壁は2.4mと高めに設定。白壁がレフ板のように室内に光を反射させ、冬でも温かみのある光が室内に注ぐ。南側の大開口からは空や雲、そして山々が望め、清々しい。ダイニングのある東側の壁一面には収納力のあるキャビネットを造作。ダイニングテーブルやソファなど必要な家具だけを置き、隠す収納を徹底することで、よりすっきりとした生活空間となっている。
清潔感のある白い壁に映える
アートやオブジェをアクセントに
すっきりとした空間になったことで、白壁を自由に生かせるようになった。余白に飾ったアートやオブジェはすべて奥さまのセンスで選び、コーディネート。単調になりかねないミニマムなLDKを魅力的に仕上げている。
階段奥のLDKのデッドスペースにはデスクを設け、書斎に。また、脱衣所、ランドリーはゆったりとスペースをとってドレッサーとしても活用し、空間の使い方に無駄がない。「浴室から直接バルコニーに抜けられる動線になっているので、湯上がりには星空を見ながら涼んだりします」とMさん。日常が豊かになる住まいとなった。1階は寝室と、将来を見越して子供室としても使える予備室を。近隣の住宅の植栽など、季節の移ろいを感じる借景を切り取れる窓を設けた。各所に窓があり、風が抜けて換気がしやすい。帰宅時の手洗いが習慣になるよう玄関近くに洗面台を設けたのも今の時代ならでは。清潔感のある白い壁を生かした収納スペースも充実。就寝時を静かに過ごしたい1階は、機能性を優先している。
人生設計そのものを相談したい
住み手に寄り添う工務店
間口が狭く、敷地が限られているため、玄関前は2台駐車が可能なビルトインガレージに。この空間はアプローチのような役目も果たし、公道と玄関との距離も保っている。大きくせり出したキャンティ構造(片持ち屋根形状)のビルトインガレージだが、SE構法により耐震等級3を確保できた。
長野県全域でSE構法の実績があるMstyle houseは住み手に寄り添う工務店。時には土地探し、融資などメンタル面も含めサポートするという。「家づくりのもやっとした不安、悩みを気軽に相談できるよう、今年から個別の相談窓口も開設しました」とM邸を設計した代表取締役の酒井良子さん。自らも子育て中であり、家事の担い手だからこその視点で、効率のいい生活動線や収納計画を提案する。「重視しているのは後からでは調整できない耐震や断熱などの家の性能です。自然のエネルギーを効率よく生かせるパッシブな家づくりと、住み手がどのような生活を理想とするかをヒアリングして、プラスαのアイデアを出すようにしています」。太陽の光を味方にし、空間をスマートに生かしたM邸は、まさにそれらをかなえた機能的な住まいだ。
取材・文/間庭典子
M邸
設計施工 | Mstyle house | 所在地 | 長野県須坂市 |
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家族構成 | 夫婦 | 敷地面積 | 118.67㎡ |
延床面積 | 111.04㎡ | 構法 | 木造SE構法 |