京の町並みになじむモダンな邸宅


京都駅から程近い東山区の住宅地にありながら、ルーバーで外部を遮断し、カーテンを必要としない大開口のLDKが実現。格子が古都の街になじむ。

3階から見渡したリビングと南側のルーフバルコニー。幅1.4m、長さ8m以上ものキャットウォークには書棚を設け、ライブラリーとして活用する予定。

吹き抜けのリビングを取り囲むキャットウォーク天井部分にはウォールナットの板張りを選び、シャープな空間を無垢材の柔らかな雰囲気で中和させた。ダイニングのチェアは黒のYチェアでまとめて端正に。

窓枠などの余分なラインを隠すことに成功した南側全面の大開口。ノイズを感じない空間に仕上げるための技術と工夫が各所に施されている。

キャットウォークは本を読んでくつろいだり、電子ドラムやギターなどの楽器を演奏したり、趣味の時間を過ごす場となった。家族が多目的な用途で活用する場であることも想定し、安全性を考慮したガードを採用している。

1.大空間の迫力に負けない存在感のボーコンセプトのソファ。全体的に黒とグレーを基調としたシックな配色でコーディネートした。/2.壁面の収納家具はすべてビルド・ワークスが造作。重厚なウォールナット材を選び、グレーや黒を基調とした無機質な空間にぬくもりを添えた。

3.玄関部分は、ゆったりとした広さをとり快適な動線に。框(かまち)の下に靴を収納できる仕様とし、すっきりとしたエントランスを常に保てるようにした。/4.玄関は南側の駐車場側と北側の両方からアクセスできる動線に。駐車場脇のプライベートジムはガラス戸を開放し、十分な通気も確保できる。

シマトネリコやシェフレラなどのグリーンはECLATがコーディネート。吹き抜けのルーフバルコニーは、LDKと同じ色調のセラミックタイルで統一。

洗面スペースはシンクを2つ並べたレイアウト。右奥には家事室としてランドリーを設けた。

浴室の扉はクリアなガラスをセレクト。奥まで見渡せ、広がりを感じられる。

寝室の手前にW.I.C.を配し、ここでも奥行きを感じさせることで伸びやかさを強調。扉は光を反射するグレーのガラスで軽やかに。
シャープな黒のスチールが全体を引き締める
L字形の敷地を生かす
東西、南北に抜けた間取り
N邸のロケーションは京都市内の東山区。窓から京都タワーが望め、すぐ近くには幹線道路も通っている便利な立地だ。神社仏閣にも囲まれ、風情ある街並みも残されている。そのため奇抜すぎたり、機能だけを優先した邸宅はこの地にはそぐわない。また日本庭園のある実家と隣接しており、風景になじむ外観は絶対条件であった。「この邸宅のコンセプトは『City Cave』です。空に抜ける圧倒的な開放感と、外部から守られている安心感と静寂、それが同時に得られる都会の洞窟をイメージしました」と設計を担当したビルド・ワークスの河嶋一志さんは振り返る。
Nさんの要望は、車を3台収納できるビルトインガレージとカーテン不要なオープンなリビング。そこでL字形の敷地を生かし、東西に寝室や水回りなど、生活に必要な機能を収め、南北の伸びた側にガレージとリビングを大胆に配した。南側を車からの動線とし、北側の路地からとの両方から玄関にアクセスできるプランである。「道路からの目線に対しては遮断し、室内からは外の様子が程よく見えるように、横ルーバーの間隔を計算しています」と河嶋さん。室内と外部の間をルーフバルコニーでつなぐことにより、リビングをより伸びやかに、外部からはより気配を消す視覚効果を狙った。また、1階の和室や3階の寝室など、東西に続く棟の南側はご実家の日本庭園に面しているため、借景も楽しめる。
シンプルモダンなインテリアは
階段や収納を造作し、カスタムメイド
格子が印象的な和モダンな外観に対し、内部は硬質で都会的なデザインを目指した。白い壁と黒のスチールを基調に、LDKの床はセラミックタイルを採用。天井や壁面収納にウォールナット材を選び、シャープさのなかに木のぬくもりをプラスした。グレーのタイル同様、光触媒の塗装壁も汚れにくく、メンテナンスが楽だという。大きな吹き抜けのあるリビングなので、シーリングファンで常に新鮮な空気が回るように心掛けるなど、機能面でも快適さを追求している。
南側の大開口は窓枠が目立ちすぎぬよう、壁を少し内側に出す、天井の位置を調節するなど1㎜単位で調整して、ノイズのない空間に仕上げた。また空調を上部の収納に収めて格子のルーバーでカバー、キャットウォークの高さを調整し、リビング全体を1本のラインで取り囲むように見せるなど、必要な機能を違和感なく見せる工夫も施されている。リビングの階段はプレートを壁に埋め込むことで強度を保ちつつ、シンプルを極めたデザインを実現。このような端正で美しい空間をかなえるためには、確かな設計施工技術が不可欠。ビルド・ワークスは自社施工であるがゆえに、細やかなカスタムオーダーや微調整も可能となる。
クオリティの高いCG資料で
お互いの理想イメージを共有
また、ビルド・ワークスでは写真と錯覚してしまうほど写実的なCGを打ち合わせのたびに制作している。出来上がりのイメージをより確実に共有しながら、具体的な素材選び、サイズ調整を進めるためだという。室内に置く家具の配置を検討しつつ作画するため、実際に暮らしたときの眺めとほぼ同じとなる。窓から見える風景なども事前に把握することができるため、設計者が思い描いたイメージをブレなく皆で共有できる。住み手に寄り添う工務店ならではのきめ細やかな対応によって、満足度の高い邸宅が生まれるのだ。
取材・文/間庭典子
N邸
設計施工 | ビルド・ワークス | 所在地 | 京都府京都市 |
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家族構成 | 夫婦+子供2人 | 敷地面積 | 231.95㎡ |
延床面積 | 338.55㎡ | 構法 | 木造SE構法 |