各所から見える中庭が光と風をもたらす都市の邸宅


玄関からLDKへとつながる動線と階段の両側に中庭がある。視界が開けて、実面積より広く見せる効果も得られた。緑や空の青さが白の壁面に映える。

2つの中庭に面した大開口が印象的なLDK。2階のファミリースペースは、トレーニングマシンを置いていつでもエクササイズできるジムになっている。

キッチンや壁面の造作家具は、コージーライフが手掛けた。カウンターテーブルは、快適に朝食がとれるようゆったりと設計している。

グラフィカルなデザインが印象的なキャビネットは、以前の住まいから使い続けているもの。軽やかな北欧スタイルのインテリアの中で存在感を放つ。中庭には目にも優しく、居心地のよさを演出する植栽を配した。

浴室やドレッサーへと続く空間のガラス扉など、光を味方につけ、ヌケを感じさせる視覚効果で伸びやかさを強調。

白い壁に囲まれた4.55m×6.06mの中庭はウッドデッキにしてアウトドアリビングに。LDK、階段、玄関ホールと室内の各所に光を届ける効果も。

1.白い空間にぽっかりと浮かぶようなスケルトン階段。壁面はギャラリースペースとして活用。/2.2階のファミリースペースから見下ろす。吹き抜けを介してコミュニケーションがとれ、家族4人がそれぞれの時間を快適に過ごすことができる。

3.イタリアンモダンなビンテージキャビネットと北欧スタイルな空間とのコントラストが絶妙。/4.2階の南側にはYさんの書斎があり、カウンターデスク越しに中庭やリビングで過ごす家族の様子が見渡せる。リモートワーク中心の日常に切り替わった今、作業に集中できるこの場所に助けられているという。奥には書庫を兼ねた納戸を設けた。

ぬくもりを感じる木の素材と、清潔感のある白でまとめた玄関まわり。

中庭を含めて大きな吹き抜けが3カ所にあるのがY邸の特徴。リビングやテラスにいる家族とゆるやかにつながる2階のファミリースペースにはトレーニングやヨガを楽しめるプライベートジムを設け、エクササイズを習慣に。

玄関前の部屋には本格的なシミュレーションゴルフの機材を設置。ゲストとゴルフを楽しんだり、南側の中庭でサッカーやパターの練習をすることも。

浴室、洗面所まで続く動線上に設けた明るいドレッサー。中庭に植えたシンボルツリーがさりげない目隠しとなっている。
魅力的な2社のコラボレーションで唯一無二の住まいが実現
互いの強みを生かす2社のコラボで
これまでにないハイブリッドな家に
東京駅から快速で約17分、市川駅近くの住宅街にある旗竿地に立つ家。「中庭が心地よい大空間が理想でした」と語る住み手のYさんは、テラジマアーキテクツの端正で開放的な家にひかれて、まずはこちらを訪問した。しかし残念ながら担当エリア外だったため、設計施工の依頼は実現しなかった。一度は家造りを諦めかけたYさんだったが、テラジマアーキテクツ側が新居の予定地である千葉が拠点の信頼のおける工務店、コージーライフを紹介。テラジマアーキテクツのコンセプトプランをコージーライフが引き継ぐ形で、2社でコラボレーションをする新築プロジェクトを提案。そして2社の強みを融合させたハイブリッドな木の家が完成し、「理想以上の家となりました」とYさんも満足の結果となった。
依頼を受けたコージーライフがこれまで手掛けてきたのは、外部に開くことで光や風や景色を取り込む郊外型の設計手法だった。「Y邸のコンセプトプランは、敷地に余裕があるにもかかわらず、塀で囲って内に開く都市型の住宅でした。斬新でしたね」とコージーライフの並木 浩社長。完全なプライバシーを確保するため、ここまでの高い壁を設ける事例は今までなかったという。しかし中心に大きな中庭2つを配すプランを引き継いで、実現。さらには、Yさんのライフスタイルを反映してより快適な生活動線にした。「家で過ごす時間の多い奥さまが、心から家事を楽しめるよう、シミュレーションを重ねながら、収納や機器選びを進めました」と内装デザインを手掛けたインテリアデザイナーの西山礼美さん。打ち合わせはコージーライフ内のモデルハウス『gallery』で行ったので、実際の住空間のイメージ共有がしやすかったという。また、同社はインテリアショップ、ティンバーヤードも経営するインテリアのスペシャリスト。そのため、手持ちの家具を生かすコーディネートもその場で提案が可能だった。「存在感があるビンテージのキャビネットやダイニングテーブルと、ポール・ヘニングセンがデザインした照明、アーティチョークが絶妙に調和しました」と西山さん。
共有する場所とこもる場所
そのメリハリをつけ暮らしやすく
またY邸は、家族がゆるやかにつながる工夫に満ちた家である。LDKに隣接するテラスや2階のファミリースペースは一人で気分転換をしたり、家族で集まったりと、フレキシブルに楽しめる場。また、中庭を介してLDKを見おろすYさんの書斎は、個人のための空間としてメリハリをつけた。Yさんは、「設計当時は想像もできませんでしたが、完全にテレワークに切り替わり、自宅勤務が快適であることに助けられています」と語る。
端正な都会の洗練と
木に包まれた安らぎを両立
大正13年から続く並木木材を母体とし、木材問屋ならではの素材選びや、ほっとする木の空間づくりに定評があるコージーライフ。Y邸ではそんな木の家の安心感と、テラジマアーキテクツが得意とする都会的で洗練されたデザインが見事に共存している。以前から両社はSE構法を学ぶ勉強会や見学会などで交流があり、互いの得意分野も理解し、信頼関係を築いていた。
「このプロジェクトは互いの強みや特徴を学び、我々の成長にもつながる挑戦でもありました。これからも協働により、木の家造りを進化させたいですね」と並木社長は意欲を示している。
取材・文/間庭典子
Y邸
設計施工 | テラジマアーキテクツ/コージーライフ | 所在地 | 千葉県市川市 |
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家族構成 | 夫婦+子供2人 | 敷地面積 | 516.14㎡ |
延床面積 | 222.86㎡ | 構法 | 木造SE構法 |