大海原と庭園にV字型に開く、見晴らしを楽しむ別荘


玄関前の車寄せとウッドデッキをつなぐ橋のような小路。約500坪の広大な敷地には長濱香代子庭園設計によるフレンチカントリー調のガーデンが。

真南に向いた庭や水平線を見渡すLDK。フレンチカントリー調でコーディネートされている空間には、石積みの壁で重厚さをプラスした。

暖かい陽光が差し込む2階のセカンドリビング。西側にはカウンターテーブルを造作し、勉強や作業に集中できる場にした。いつもどおりの生活ができるコーナーを設けるのが、毎週訪れたくなる別荘づくりの秘訣。

1.インテリアは、自宅を新築した際にも依頼したアイムホーム編集部が手掛けた。/2.大胆なローズピンクの壁など、インテリアのプロならではの大胆な配色がさえる。どこか懐かしいフレンチカントリー調にまとめられている。ゲストを招きたくなる華のあるダイニング。

矩形(=長方形)の棟にして、より耐震性のある強靭な構造に。テレビの背景の壁と同様、キッチンまわりも石の素材感を生かした仕上げにし、空間に統一感をもたせた。深みのあるローズピンクの壁が日差しを反射し、より柔らかな印象に。大きなスクリーンを取り付けたプライベートシアターを兼ねており、家族全員が集まる場所。

3.キッチンの大きな開口からも庭園の眺めを楽しめる。/4.西と東の棟をつなぐ廊下には、書棚などの収納と読書やお昼寝ができるようなデイベッドを造作。家族全員で過ごす時間も一人で物思いにふける時間も、ともに充実させる工夫が施されている。

視界を遮るものがなにもない絶景露天風呂。内風呂もあり、いつでも温泉が楽しめる。

ランドリーやドレッサーを兼ねた広々とした洗面スペース。別荘全体の雰囲気と調和するフレンチカントリースタイルに造作した。

西の棟に家族の寝室などのプライベートな個室をまとめた。南仏のプチホテルのような可愛らしいコーディネートに。1階はパブリック用、2階は家族だけで使う空間としてメリハリをつけている。

道路に面した西側の門から見た外観。
休日を快適に過ごす、家族と愛犬のための海を望む家
伊豆半島の景観を取り込む
V字型のプランニング
思い描いた夢を具現化し、その空間に身をゆだねるのが休日を過ごすサマーハウスの醍醐味。伊豆高原にあるY邸は、ガーデナーとして活躍している長濱香代子さんに約500坪の広大な敷地の造園を依頼。季節ごとのワイルドフラワーが咲き乱れるフレンチスタイルの庭が広がり、南側の海に向かって緩やかに傾斜する特性を生かした、丘の上に立つ別荘が完成した。
ファサードは南東側の道路から見上げるようにして、入り口となる西側道路を軸線にしてデザイン。伊豆高原や熱海の傾斜地に立つ数々の別荘を手掛けてきた梅原建設の設計担当の荒子和雄さんも、このY邸の立地を生かした建物の配置には悩んだという。「公道からの軸線と伊豆の景色を望む軸線が異なるので、総合的なバランスを取るのが難しいのです」と荒子さん。結果、海に向かって2つの軸線を両立させた、V字型に開くプランを提案した。荒子さんによると、「2つの棟を連絡通路で斜めにつなげることで、広大な敷地を最大限に生かしています。2階に絶景を望む石造りの露天風呂を配したり、西側の棟には広い車寄せスペースがあります。SE構法によるデータに基づいた強度への安心感があるので、絶対の自信をもってこのようなプランをおすすめできました」。
休日を楽しむための仕掛けを
各所に配した趣味の空間
接道面の西側の棟には1階に車寄せを挟んで玄関と納戸を配し、2階を寝室に。そして東棟には1階にウッドデッキへつながるLDK、2階は海を望むサンルームのようなセカンドリビングや重量のある石造りの浴室がある。その2つの棟をつなぐ通路には、収納やお昼寝コーナーのような日当たりのいい居場所などを配した。エントランスからLDKへの通路を進むと庭や海のアングルが変化し、劇的な空間が広がる。
海の眺望に向いたすべての方角に直角な矩形(くけい)の建物で耐震性を担保。1階の約50㎡のリビング&ダイニングは天井高3mを確保して、シアタールームとしても活用できるスペースにした。映画鑑賞や野球観戦が趣味というYさんは迫力のある大画面のスクリーンで大リーグを応援。また2階はゆったりとくつろげるセカンドリビングにして、全く趣の異なる空間を演出している。
ユニークなのは愛犬のためのスペース。LDKの東側に位置するテラスには犬用のプールである水盤、パントリーの奥に大型犬もゆったり過ごせる部屋を設けるなど、大事な家族であるペットとの休日が心地よくなる別荘にした。もちろん広大な庭は、ドッグランにもなる。人間と犬たち、互いにとって快適な居場所が住まいの内外に設けられているのもY邸の魅力である。
非日常の驚きと日常の快適さ
その両方を兼ね備えたY邸
趣味に没頭できる空間や伊豆の絶景、洗練されたインテリア。そんな休日を満喫できる伊豆高原のビーチハウス。しかしここでは、非日常な仕様のために居心地の悪さを感じてしまう不安は一切感じられない。「ミーレのオーブンや食器洗い乾燥機、ワールプールの冷蔵庫など、水回りの機器はすべてご自宅と同じ仕様にしています」と荒子さん。そのため使い勝手に戸惑うこともなく、自宅感覚でストレスなく家事ができる。
非日常と日常──。その両方の居心地を両立させる空間が、デザイン力のある工務店と各スペシャリストの知恵により実現した。
取材・文/間庭典子
Y邸
設計施工 | 梅原建設 | 所在地 | 静岡県伊東市 |
---|---|---|---|
家族構成 | 夫婦+子供2人+犬2匹 | 敷地面積 | 1607.98㎡ |
延床面積 | 260.63㎡ | 構法 | 木造SE構法 |