【ZEHの建て方】大事なポイント徹底解説

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ZEHの補助金の解説では、どのような家がZEHとみなされるのかという概ねの部分をお話しました。では、「ZEHの家はどうやって作るのか?」というより具体的なお話をしましょう。特に、外皮・太陽光発電・エアコン・HEMSなど、ZEHに欠かせないものことや、事前に知っておいていただきたいことを解説します。「今すぐでなくても、いずれ家を建てたい」という方もどうぞお付き合いください。
国は、「エネルギー基本計画」で、「住宅については、2020年までに標準的な新築住宅で、2030年までに新築住宅の平均でZEHを実現したい」という方向性を打ち出しました。たとえ国の方針でなくても、エネルギーの問題は私たちの毎月の経済に大きな影響を与えますのでとても気になるもの。エネルギーを使わない家・生み出す家「ZEH」はどのように作るのでしょうか。
1.外皮性能はZEH「基本中の基本」
家で使用するエネルギーを低減するためには断熱性能が重要で、優先されるべきものです。外気の暑さ寒さを室内に持ち込まないために断熱が有効です。断熱材を施していない家ではいくら暖房してもエアコンを入れても、快適な温度の空気はすぐに逃げていきます。特に盆地では顕著で、朝方と日中との温度差で体調を崩してしまうこともあります。断熱してこそ、エアコンの効く空調効率のいい家、健康に資する家となるのです。
外皮性能とは、具体的に何を指すのでしょうか。ZEHに求められている外皮性能をみると強化外皮基準は、1~8までの地域それぞれの「平成25年省エネルギー基準」を満たし、なおかつ1・2地域では0.4W/平方メートル・K、3地域では0.5W/平方メートル・K、4~7地域では0.6W/平方メートル・K相当以下を実現します。(補助金編:【平成29年度】ZEHの補助金は75万円!用語から申請まで徹底解説)
数値ではなかなかわかりづらいですので、ポイントを三つお伝えします。外皮の中でも一番熱の出入りが激しいのが壁・窓・ドアです。外皮の性能を示すには細かな計算をしなければならず、大手ハウスメーカーのように一定の規格に沿って建てる家以外は、その家ごとに詳細に算出します。専門の代行業者がいるくらい、外皮性能計算は厄介なものなのです。
お施主さまに気をつけていただきたいのは、外壁と内壁の間に充填する断熱材(とその種類・性質)、窓やドアは大きなものを望まないというあたりです。開放的な大きな窓やドアは、エネルギーの発散も大きく発生するので、断熱性能が高い製品を選ぶ必要があります。
2.窓(サッシ)は外気の影響を一番受けやすい場所
家の内部と外部を直接つなぐ部分が窓です。開け閉めで空気が逃げるだけではなく、窓ガラスを通してでも熱は出入りしています。これは冬場、加湿・暖房した室内と、外の寒い空気の出会う場所である窓ガラスに結露が生じることでもわかります。
このロスを極力抑えるために、ガラスが二重になったペアガラスを使用することがあります。ペアガラスは、二枚のガラスの隙間を真空にしたり、特殊なガスを封入したりして熱を伝えにくい工夫をしたものです。ガラスの外部に特殊金属膜をコーティングして断熱性や遮熱性を高めた製品もあります。
ガラス面のみならず、熱の出入り口となっているのが窓枠(サッシ)です。金属製のサッシは夏熱くなり、冬は冷たくなります。メーカーもこれらの商品でZEHに対応しようとしていて、窓枠部分の熱の出入りを抑えるための樹脂製サッシも続々と発売されています。あるメーカーによると、窓ガラスやサッシに留意せず、壁の断熱性のみでZEH基準をクリアしようとすると、断熱材がなんと4倍も必要だという試算が。開け閉めしなくても、そこに窓ガラスがあるというだけで光熱費に大きな影響を与えるとなれば、それらの性能にも注目したいものです。
3.どんなエアコンを選べばいい?
高い外皮性能と窓部の工夫で断熱性・機密性を確保したら、次は省エネ性能の高いエアコンを選ばなくてはなりません。ZEHの家を認定し、補助金窓口を果たす一般社団法人環境共創イニシアチブのWEBサイトにはエアコンについても明確に記載してあります。(5.エネルギー計算について)
エアコンのエネルギーの消費効率の区分は、「い」「ろ」「は」で表示されます。これは、家電メーカーのWEBサイトでも公開されております。
何らかの理由で設計時にエアコンの選定が間に合わない、気に入った機種が見つからないというケースが生じても、エネルギー消費効率区分の「い」のルールを厳守すれば大丈夫です。
参考(ルームエアコンディショナーのエネルギー消費効率の区分の判断)
4.パッシブデザインって何?
ZEHを説明した概念図を見たことのある方なら、「パッシブデザイン」「パッシブエネルギー」といった語句を見つけたことがあるでしょう。パッシブとは、アクティブの反対語で、受動的という意味を持つことばです。電気やガスは「せっせと一次エネルギーを消費する」アクティブエネルギー、太陽光や風など自然から得られるものは「大地の恵みを家にやさしく取り入れる」パッシブエネルギーと定義されます。このパッシブエネルギーを積極的に家づくりに組み入れる設計を「パッシブデザイン」といいます。
パッシブデザインの家は、
(1)夏の太陽をさえぎり、冬は太陽光を取り入れるひさしの工夫
(2)家の中に空気を循環させることで実現する、夏の暑さをしのぐ風の通り道の確保
(3)夏は茂り、冬は落葉する樹木を庭に植えて家の中に入る日差しや風をコントロールする
などの特徴を持ちます。この工夫は、敷地条件や家の建て方、ご近所の家との関係性に大きく左右されますので、一棟一棟個別の検討が重要です。敷地の広さによっては、樹木を植えることがかなわないケースもあるでしょう。風向きは土地ごとのクセのようなものもあります。住宅密集地では、日照時間が短いこともあります。
それであっても、誰もが得られる自然の恵みを最大限に活用できれば素晴らしい家ができあがります。夏は風を取り入れエアコン要らず、冬は太陽光で一定の温かさを得られれば、消費電力をぐんと削減可能です。日光・風・樹木―これらの要素を上手に組み合わせることで健康的な暮らしに近づける事ができるのです。
5.太陽光発電はどれを選ぶ?
ZEHに欠かせないものとして太陽光発電パネル(とそれにまつわる機器)がありますが、この選び方も大切です。ZEHの家の定義は、「設計一次エネルギー消費量は、再生可能エネルギーを加えて、基準一次エネルギー消費量から100%以上削減されていること」ですので、より広く、より効率の良い太陽光発電パネルを選ぶことが大切なのです。
太陽光パネルにも発電効率や寿命がありますので、メーカーごとの特徴のようなものを事前に調べておくとよいでしょう。メーカー独自の保証制度を確認できればベストです。雨風・ホコリや、鳥のフンなどで汚れて発電効率が落ちることもあります。先々を見据えて太陽光パネルを取り入れるわけですので、メンテナンスのしやすさ、もしくはメンテナンス業者にクリーニングを依頼するときのコストまで調べることができればもっと良いでしょう。
では、この太陽光発電で生み出した電力は、すべて自宅で使わなければならないのでしょうか。いいえ、余剰買取であれば売電もOKです。また、昨年度は10kW以上の太陽光発電の設置は認められませんでしたが、28年度は10kW以上のものでもOKとなりました。10kWといえば、家庭用ではなく産業用に分類されるものですが、ZEHに乗せる太陽光発電は自家消費を目的にしています。もしも売電も視野に入れておられるのであれば、余剰分のみを売電するように手続しなければなりません。
6.蓄電池にも条件がある?
太陽光パネルにつきものなのが、蓄電池です。太陽光パネルで行う発電は、4・5月の初夏が“ベストシーズン”とされています。日照時間の短い冬や梅雨、そして厳しい直射日光によってパネルが高熱を帯びる真夏にも発電効率が落ちます。さらには1日の間でも夜は全くダメ、昼間に頼るしかない状況です。くるくると変化するこの発電状況のばらつきをならし、自宅で使用するエネルギーを安定的に確保する手段が蓄電池であり、ZEHの家に必要不可欠な要素なのです。
ZEHの家を作るには、この蓄電池にも条件がつけられています。「平成27年度補正予算 住宅省エネリノベーション促進事業費補助金 対象製品一覧(蓄電システム)の「再生可能エネルギー蓄電モード」項目が「有」で登録された機器が補助対象機器になります」という但し書きもあります。
平時の再生可能エネルギーを効果的にためることができるものであって、非常用の電力確保を目的とはしないこと、なども条件として示されています。少しわかりづらいところがありますが、これは「平成27年度補正予算 住宅省エネリノベーション促進事業費補助金 登録商品一覧」に掲載されていて、ここから選べばよいこととなっています。
7.HEMSって何のこと?これからのHEMSは?
HEMSとは、Home Energy Management System(ホームエネルギーマネジメントシステム)のこと。「つくる」「つかう」「ためる」の3つを管理しつつ、それらを「見える化」する―これがHEMSの基本的な機能です。言い換えれば、HEMSを導入してこそ、太陽光発電によって作り出したエネルギー、そしてつかう・ためるエネルギーとの収支バランスが見えてくるのです。
作ったエネルギーを上手に使う自動制御機能を持っていればベストな環境を整えることができます。これは「ECHONET Lite」という通信規格によってHEMSと家電を連携させることで実現します。ECHONET Liteに対応している家電も増加中。ECHONET Lite機能を持つHEMSとこれらをつなげば無駄のない電力消費行動が可能です。
たとえば、「電気使用量が高くなれば夏のエアコンの設定温度を上げる」「気温が○度を上回ったら(下回ったら)エアコンをONにする」といったきめ細かなコントロールができます。これなら生活や体に負担をかけず、自然に電力を省くことができますね。
ECHONET Lite に関してはZEH補助金公募要領にも明記されており、蓄電システムの導入目的と機器要件についての項で「ECHONET Lite 規格を標準インターフェイスとして搭載しているもの」との記載があります。家電を追加したり入れ替えたりするときにECHONET Lite家電を選べば自然と節電できるようになりますので、今から準備をするようにと促しているのです。
【まとめ】ZEHの家づくりで最も大事な「目の付け所」は?
ZEHの家づくりに求められる事柄を、重要なポイントにそって説明してきました。お施主さまになにより大切なのは「ZEHの家を建てなれている会社(ZEHビルダー)を選ぶこと」です。ZEHビルダーとは、「「ZEHロードマップ」の意義に基づき、自社が受注する住宅のうちZEH(Neary ZEHを含む)が占める割合を2020年度までに50%以上とする事業目標(以下「ZEH普及目標」という)を掲げる工務店、ハウスメーカー、建築設計事務所、リフォーム業者、建売住宅販売者等」のこと。ZEH補助金は、このZEHビルダーが手がける家であるということも条件のひとつです。
建築の知識・技術に加え、自然から得られるエネルギーの取り入れ方、最新の設備への理解―厳しい要件が幾重にも求められるZEHの家づくりは、ZEHビルダーと共に行う事が重要です。