「縁側」には昔ながらの知恵が詰まってる! 知っておきたいメリットや注意点

「縁側」には昔ながらの知恵が詰まってる! 知っておきたいメリットや注意点のインデックス
昔ながらの日本家屋には、庭先に縁側があり、そこでお茶を飲みながら日向ぼっこをしたり、畑で採ってきた野菜の下処理をしたり、ご近所さんと世間話をするなど、生活になくてはならない場所でした。現代の住宅では、多少用途が変わってはいるものの、縁側をモダンな形で取り入れるお宅も増えているようです。
縁側にはそれぞれの特徴がありますので、自分たちがどう過ごしたいのかを考えながら縁側を作るのがいいでしょう。実は縁側には、デザイン面以外でも、生活する上でさまざまなメリットがあります。今回は、そんな縁側のメリットと注意点をご紹介いたします。
縁側の種類はどんなものがある?
さて一口に縁側と言っても色々なタイプがあります。まずは、それぞれの特徴を見ていきましょう。
1.濡れ縁(外縁)
建物の外周に外に張り出すように出ている縁側。屋根もなく雨に濡れることから濡れ縁と呼ばれます。
2.くれ縁(内縁)
部屋の内側とは建具で仕切られているので空間としては外部のようにも感じますが、縁側の外側にも建具が設置されているので全体的には内部空間と言う構成の縁側です。
3.落ち縁
部屋の内部とは一段下がった位置にある縁側です。基本は濡れ縁のカテゴリーに入るので風雨にさらされますが、一段下がっていることで部屋の内部に埃や汚れが入りにくい作りとなっています。
縁側とウッドデッキとの違いは?
縁側は、伝統的な日本住宅でよく見られる建築様式で、一般的には室内の板間から続く木製の床が屋外へと延び、そのまま庭に下りられるようになっている事が多いです。縁側は、自然の風景を楽しむ場所として使われるのが特徴です。一方で、ウッドデッキは、アメリカやヨーロッパなどの西洋の建築様式が日本に入ってきたスタイルで、縁側と同様に木材を使用して屋外スペースを作りますが、縁側より広さがあり、くつろいだり、家族のアクティビティの為に使われることが一般的です。
夏は涼しく、冬は暖かくする省エネ効果も!
縁側とは本来、和室と庭の間にある板張り空間のことを言います。縁側の種類は先ほどお伝えした通りですが、くれ縁(内縁)のように内部に設けられた縁側には、部屋と部屋をつなぐ廊下のような役割もありますが、そのほかにも室内の温度をコントロールする効果もあるようです。
外部と部屋の間にワンクッションスペースを設けることで、夏には部屋に直射日光が入るのを防ぎ、室内温度を下げてくれます。また、外部の縁側の場合は軒を作ることで、日陰部分が生まれます。縁側や軒が室内に直射日光が入るのを防ぐことで、冷房などの省エネ効果も高くなり、光熱費の節約にもつながるのです。
一方で冬の寒い日には、縁側が冷気を遮ってくれて、暖かな直射日光だけを部屋に届けてくれるサンルームのような役割を担ってくれます。また、雨の日や梅雨時期にはランドリールームとして活用することも。縁側には、夏は涼しく、冬は暖かく部屋の温度をコントロールしてくれるという、大きなメリットがあるのです。
縁側は家族が集まるコミュニケーションスペース
濡れ縁タイプの縁側は大きな庇が掛かっていて、その庇にはブランコが設置されています。お休みの日には子供をこのブランコで遊ばせたり、庭で走り回っている様子を近くで見守ることが出来ますので、親御さんも安心して縁側でリラックスして過ごせますね。庇は雨を防ぎつつ陽光は通す素材となっているので少しくらいの雨なら、縁側で過ごすことが出来そうです。外出するのは面倒だけど、家の中にばかりいてもリフレッシュしないなと言う時にはピッタリなのではないでしょうか。
モダンな作りの和室横に広縁があるこちらのお宅は、LDK、玄関、土間、和室、広縁というマテリアルがそれぞれに空間として存在しつつも、間仕切りを開放することによって全てが一つの空間になるという、かなりオープンなデザインになっています。縁側も含めて家族がどこに居ても一緒に居る、という感覚を味わえそうですね。また、薪ストーブがあることでこれだけオープンな空間であっても全体に暖かさが行きわたり、どこに居ても快適に過ごすことが出来るでしょう。
庭の草木を鑑賞できる癒しの縁側
最近の住宅では、縁側を庭側の外部に設け、デッキのような感覚で使用している場合も多いようです。ガーデニングを楽しんでいるお宅や、芝生を敷いてお子さんの遊具などを設置しているお宅なら、奥行きのあるデッキではなく、庭を最大限に使うためにコンパクトな縁側がぴったりですね。
お天気の良い日には、縁側に座ってお茶をしながら、庭の草花を愛でたり、子どもたちが遊んでいる横で、家事をしながら見守ったりと、さまざまな使い方ができそうです。
縁側に沿って軒を設ければ、雨よけや日よけになり、使い方にも幅が広がります。吹き込まない程度の雨であれば、洗濯物を干しておいたり、部屋の扉を開けておくこともできそうです。また、部屋と地面の高低差がある場合は、縁側を作ることで、出入りがしやすくなるというメリットもあります。
縁側を作る場合は、そこに座った時に見える景色を考えてみましょう。縁側に座った時に、目の前がコンクリートの塀や外の道路いか見えるような作りでは、せっかくの縁側が台無しです。庭や草木が眺められ、心が癒やされる景色になるように、設計の段階で相談してみるのもおすすめです。
フラットに続けば、部屋を広く見せる効果も!
デッキと同じように、縁側には部屋を広く見せる効果も期待できます。段差をつけず、部屋と同じ高さでフラットに続くように設置すれば、中から外を見た時に床が続いているように見えるのです。床材や天井材を室内と統一させることで、より一体感が生まれます。
広めの縁側であれば、部屋から縁側へフラットに続かせることで、扉を開け放してアウトドアリビングとして使うことも。アウトドアが楽しめる時期であれば、友人を招いてバーベキューをしたり、子どもたちがプールをしたり、夜にはビールを飲みながら涼んだりと、ウッドデッキのような感覚で使えそうです
典型的な縁側は、モダンデザインで取り入れやすく!
かつての典型的な縁側は、玄関の脇から建物に沿う形で設置されていることも多かったようです。こうすることで玄関を通らずに、庭先や縁側でご近所さんとのコミュニケーションができていました。部屋に上がってもらうほどではないけれど、立ち話では申し訳ない……。そんな関係性であれば、縁側に座ってもらうのがちょうど良い場合も多いですね。
現代の住宅で、この昔ながらの縁側を設置するのであれば、モダンなデザインで取り入れてみてはどうでしょうか。少し奥行きを持たせてデッキ風にしてみたり、素材をモダンにしてみたり、デザインを工夫してみるのもいいですね。
玄関と縁側が近いことで、人の出入りがより感じられやすく、来客が多いお宅やお子さんがいるご家庭には安心です。ただし、縁側は通りからも見えやすくなってしまう場合もありますので、デザインや設置位置などを工夫する必要がありそうです。
自由な発想で作る縁側が、今どきスタイル!
「縁側だから、こうしなければいけない」という決まりはありません。現代の住宅らしく、自由な発想で縁側を楽しみたいものです。たとえばこのお宅のように、縁側を家と一体化させることも。天井にハンモックを設置して昼寝をしたり、子どもたちが遊んでいる様子を読書をしながら見守ったりと、使い方や遊び方の夢が膨らみそう!また、縁側の段差をなるべく低くすることで、小さなお子さんでも上り下りがしやすくなるメリットがあります。
また、こちらは土間と組み合わせたユニークな縁側。室内に設置しているので、まるで小上がりのような雰囲気が楽しめます。来客が来た時にちょっと座れるスペースになったり、靴の脱ぎ履きが楽にできるなど、使い勝手もよさそうです。このような自由度の高いデザインの縁側が楽しめるのも、現代の住宅らしい発想ですね。
縁側を作るうえで注意した方がいい点は?
さて縁側の種類や実例を見て是非縁側を我が家にも取り入れたいと思った方も多くいらっしゃると思います。そこで、実際に縁側を作るにあたって、注意した方がいいポイントもいくつか見ていきたいと思います。あらかじめ注意点が分かっていればそこに気を付けた作り方、使い方が出来ますね。
縁側には設置する分のスペースが必要
当然と言えば当然ですが、縁側を作るにはそれなりのスペースが必要になります。その分部屋を広くしたいという思いや、庭を造りたいという希望もあるかもしれません。そこは家族の意見を調整して、縁側を作った方が家族にとってもいいのかどうかを考える必要がありますね。こちらのお宅のように、縁側を思い切って広くして庭よりも縁側生活を楽しむという選択も一つでしょう。これだけ広い縁側ですから、お手入れの簡単な鉢植えでグリーン生活を楽しむことも出来ますね。
家を作る時には土地の大きさによって建てられる延べ面積が決まってきます。そんな時に便利なのが縁側と言えるでしょう。縁側を作るにはそれなりのスペースが必要とお伝えしましたが、それが外部空間であれば実際には家族が過ごすスペースとして広く使えても家の延べ面積には含まれません。(外壁面から2m以内の場合)余ったスペースを縁側として利用すれば、こんなにお得なことはないとも言えます。
縁側はプライバシーや防犯が疎かになる可能性も
こちらはウッドデッキと呼んでもいいようなモダンなタイプの濡れ縁ですが、ちょうど人が腰かけられるような高さがあるので縁側的にも使えますね。かなりオープンなタイプの縁側なので、気になるのはプライバシーの確保です。こちらの実例では側面に目隠しの壁が設置されています。目隠しの壁も素材に木材を使用することで重すぎない印象になっています。
縁側はオープンなところが気持ちの良い空間ですが、気を付けたいのは防犯面です。縁側ではなくとも掃き出しタイプの開口部は空き巣などの被害に遭いやすいと言われていますので、履き出し窓にはシャッターを設置するなどの防犯対策をすることも一つの方法でしょう。
心地よい縁側を作るポイント
では、心地よい縁側を作るためには、どんなことに注意したらよいでしょうか。次の3つのポイントについて見てみてください。縁側は家の一部を構成するものなので、家づくり全体をイメージしながら考えるのが重要ですね。
縁側のある家の暮らしをイメージする
縁側は、古来より日本に伝わる、日本建築の伝統美の一部でもあります。縁側があれば、どんな暮らしができるのか、具体的にイメージしてみましょう。例えば、縁側に腰かけて庭を眺めながらお茶を飲む。庭を通って直接縁側にアクセスすることが出来れば、来客があった際にも、縁側で一緒に庭を楽しむこともできますね。
また、縁側は日本の伝統的な建築様式の為、庭や庭に降りるための踏み石、縁側に備えられた建具など、様々な周辺デザインにもこだわることで、日本の伝統美を表現できるでしょう。
縁側の屋根のデザイン
縁側は通常、家の外部に付随しているものですが、その上に屋根があるかどうかは、デザインや使い勝手において重要なポイントです。濡れ縁と呼ばれるものは外部空間ですが、屋根はかかっています。この屋根のおかげで少々の雨であれば、濡れずに縁側で過ごすこともできます。
くれ縁と呼ばれる、縁側が家の内部に設置されるものに関しては、当然屋根はありますし、縁側の外部側に建具がありますので濡れる心配はありません。どちらのデザインがいいかで選ぶことが出来ますね。
縁側と庭のバランス
縁側と庭のバランスも非常に大切です。縁側は庭を見るためのものでもありますので、縁側を作ったせいで庭が小さくなってしまっては、あまり豊かな空間とは言えないでしょう。また、縁側でリラックスした時間を過ごすためにも、プライバシーを確保する意味でも、庭と縁側の関係は重要です。
さらに、庭と縁側のデザインイメージも統一する必要があります。配置する樹種や石、水盤などの庭を構成する素材のなかで、縁側もその一部としてデザインするようにしましょう。
縁側のメンテナンス
縁側のメンテナンスで重要なことはまず、日々のお手入れだと言えるでしょう。縁側は一般的には外部に設置されていますので、庭の土埃や木々の落ち葉などが上がってくることがありますし、屋根があるとは言っても雨でぬれてしまうこともあります。
汚れたらこまめに掃除をすることで、いつまでもきれいな状態をキープできるでしょう。また、ほとんどの縁側は木製なので、防腐剤や防水剤などを塗布すれば、水に濡れた時のメンテナンスも大幅に楽になるでしょう。
おしゃれな縁側の実例5選
では、実際に縁側を作った実例を見ていきましょう。それぞれにこだわりを持って縁側をデザインしていますので、上記で見てきたようなポイントを確かめながら見ていくと、さらに自分の作りたい縁側がイメージできるのではないでしょうか。
緑溢れる庭とリビングを繋ぐ縁側
こちらの事例の縁側は、いわゆる一般的な縁側とは一線を画す、モダンなスタイルのものです。縁側も庭もいわゆる和風の要素はなく、シンプルでお洒落なイメージで統一されています。屋根がないことで、庭とより一体化した雰囲気を味わえることと、庭の緑が室内に居ながら十分に眺められること、陽の光が室内にも十分に入ってきて明るい空間が実現しているということが特徴ですね。
縁側に囲まれた開放的なLDK
大きな吹き抜けと大開口をもつ、広々としたLDKに面して縁側が設置されています。縁側上部には、屋根が掛かっているので、少しくらいの雨であれば外に出ることは可能でしょう。縁側に面して庭があります。庭自体の奥行きはそんなにありませんが、木製の塀の向こうには、隣地の緑豊かな借景が広がっています。
実はこちらの事例は、玄関を開けるとホールを通してLDKがダイレクトに見えるデザインになっています。玄関に居ながら、LDKとさらにその向こうにの縁側、庭、隣地の借景と、贅沢な眺めが楽しめます。
縁側とつながり、広がりのある空間に
モダンな和室に面した縁側は、やはり洗練されたデザインで統一されています。実はこちらの和室は、2面が大開口に面していて、縁側の反対側は中庭と隣接しているので、非常に明るい空間となっています。
和室から直接出られる縁側は、一部に水盤が設置されており、モダンな中にも和のテイストを取り入れた、現代の縁側スタイルのよい例といえるでしょう。また、縁側には物干し竿が設置できるつくりになっているので、実用面でも優れていますね。
和の佇まいを感じられる縁側
和の雰囲気をたっぷりと感じることのできる縁側の事例です。柱が設置された広めの縁側には、軒裏が木材で作られた屋根がかかり、和のイメージを作り上げています。また庭のデザインにおいても、自然な形状の石をうまく配置して、縁側のイメージに合う和風の庭が作られていますね。さらに庭に設置された照明も、ほのかに庭を照らすデザインで、奥ゆかしい和の心を表しているのではないでしょうか。
プライバシーの守られたL字型の縁側
こちらは、中庭を活用した縁側の設置例です。中庭はシンプルに芝生が植えられており、見た目の美しさはもちろんのこと、裸足で外に出ても気持ちよさそうな空間です。縁側に座って、子供たちが芝生で遊ぶのを眺めることもできますね。
中庭に接していることで、外部からの視線が気にならないのも大きなメリットと言えるでしょう。縁側と庭の行き来の為に、段差を解消するために踏み石を二か所設けているので、小さなお子さんからお年寄りまで使いやすくて安心ですね。
まとめ
お天気が良い日の縁側では、お茶を飲みながら庭の植物を愛でたり、家族や友人とゆっくり過ごす憩いの場として活用できます。さらに、外部と部屋の間に縁側を設けることで、室内温度を快適に保ったり、部屋をより広く見せたりと機能的なメリットも。「縁側は昔のもの」ではなく、デザインや目的を今らしく変えて取り入れることで、生活がより便利で快適になり、家族が楽しく使うこともできるのです。