屋根裏部屋をつくろう! メリット・ポイント・活用アイデアを解説

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この秘密基地で何をしようかな……。我が家の中にそんな空間があるだけで、ちょっとワクワクしませんか? 屋根裏部屋を利用したロフトを、ただ収納場所として活用するだけではもったいない! たとえば、本棚をたくさん設けて家族の読書スペースにしたり、ご主人のミニ書斎にしたり、子どもたちの遊びスペースにも。もちろん、誰にも邪魔されず、ただゴロッとするだけのスペースにももってこいです。
また、都市部の狭小住宅では、屋根裏部屋を設けることで空間を広く見せたり、「0.5部屋」として活用するなど実用性も兼ね備えています。今回は、自分時間がもっと楽しくなりそうな、屋根裏部屋やロフトのある家づくりのメリットやポイント、実例までご紹介いたします。
屋根裏部屋とは?
屋根裏部屋とは、屋根と天井の間にある空間を活用したスペースのことをさします。小屋裏やロフトも同義で、隙間空間を有効活用できるのが特徴です。建築基準法上は物置と定義されますが、使い方次第で部屋のように活用するができます。延床面積に含まれず固定資産税に計上されない点も魅力のひとつですが、屋根裏部屋となるには必要な条件があるので注意が必要です。
屋根裏部屋の条件とは?
屋根裏部屋として満たすべき条件とは、建築基準法で次の通り定められています。
・天井の高さが1.4m以下であること
・面積が階下床面積の1/2以下であること
この範囲を超えてしまうと「階」に該当となり、固定資産税などにも計上されるようになります。また、高さ・面積の規定以外にも、屋根裏部屋への階段、換気目的の開口部、内装の仕様等については自治体によって定められている条件が違う可能性があるので、事前にしっかりと調査するようにしましょう。
屋根裏部屋を作るメリット
収納スペースを確保できる
部屋の収納スペースが少ないと、モノが散乱して狭い印象になってしまいますよね。また、収納力のある間取りにしようとして居住スペースが削られてしまうこともあるでしょう。しかし屋根裏部屋を備えていれば、居住空間とは別に収納に特化したスペースをつくることができます。居室の広さを犠牲にすることなく収納力を確保することができるというのは、大きな魅力といえるでしょう。
特別な空間ができる
屋根裏部屋は人目につきにくい部屋のため、特別感のある空間としても活用できます。天井が適度に低いことによって落ち着きも感じられるでしょう。家族を感じられる家の中にも、おこもり感のある静かな空間があると嬉しいですよね。秘密基地のようなワクワクする空間、のんびりリラックスするための空間など、幅広い使い方ができるのも魅力です。
費用面・税金面でお得になる
建築基準法で定められた条件に則った屋根裏部屋であれは、床面積や容積率には含まれず、固定資産税や保険料の負担を抑えられる可能性があります。また、新築時に屋根裏部屋を計画すれば、土地や建築費用を抑えつつ無駄を減らした空間づくりができますね。コストをかけずに空間を広げたい人におすすめの設計手法といえるでしょう。
屋根裏部屋を作るときのポイント
使用目的を明確に
幅広い使い方ができる屋根裏部屋ですが、計画する際には事前に使用目的を明確にしておきましょう。どのように活用するかによって、屋根裏部屋の作り方や備えるべき設備などが変わってきます。収納スペースとして使う場合は広さを重視した方がよいでしょうし、書斎や趣味の部屋にするなら長時間でも過ごしやすい環境にする必要があります。また、子ども部屋や寝室として活用するなら、安全面を考慮した設計にした方がよいでしょう。用途に合わせた設計をして、快適な屋根裏部屋を目指しましょう。
暑さ対策を考えよう
屋根裏部屋は熱がこもりやすい場所のため、断熱対策をしっかり検討することが必要です。屋根下に位置することから、屋根から屋外の熱が伝わって室内温度が上昇してしまうので、屋根断熱を採用して熱や湿気を逃すようにするとよいでしょう。天井断熱に比べてコストはかかってしまいますが、屋根裏部屋として空間利用したい場合には必要経費として考えてもよいでしょう。また、エアコンや小窓を設置すると温度調整がしやすく、屋根裏部屋を快適に利用できるようになります。
採光・換気は綿密に計画を
屋根裏部屋を快適にするためには、採光と換気の計画も重要なポイントです。窓は直射日光が当たりにくい位置を選ぶ必要がありますが、適切な位置に設置すれば風通しが良くなり、空気循環を促すことが可能です。また、単層ではなく複合ガラスを採用するなど、光や熱の遮熱効果も考慮すると良いでしょう。しかし、屋根裏部屋に設置できる窓にも法律上の規定があるので注意が必要です。また、自然の風だけでは十分な換気ができない可能性もあるので、換気システムや換気扇の設置も検討しましょう。
屋根裏部屋の主な活用アイデア
大きな収納スペースとして
屋根裏部屋を大きな収納スペースとして活用すると、家の中をすっきりと保ちやすくなります。雛人形・五月人形やスキー・スノボ用品などシーズン限定のものや、シーズンオフの衣類や来客用布団など使用頻度の低いもの、ストーブ・扇風機など季節ごとに出し入れするものをまとめて収納できるので、他の部屋を広々使うことができますね。
子どもの遊びスペースとして
屋根裏部屋は、子どもにとってワクワクする秘密基地のような空間になるでしょう。おもちゃや絵本を置いて子供専用のスペースにすれば、リビングが散らかる心配も減らせます。ただし、安全対策には十分に配慮しましょう。落下防止に手すりやパネルを設置し、階段も安定感のあるものにすると安心ですね。お友達を呼んで遊ぶ楽しい空間として活用できます。
書斎スペースとして
屋根裏部屋のおこもり感を活かして、書斎として活用するのもおすすめです。大人が真っすぐ立つには低い天井ですが、座るとちょうど良い高さです。プライベート感もあるため、集中力を高めやすい環境になるでしょう。小窓や間接照明を取り入れると、より居心地の良い書斎を追求できますよ。静かで落ち着いた空間が、仕事や趣味の時間をより充実させてくれるでしょう。
屋根裏部屋のおすすめ活用事例
空間を視覚的に広く見せる、屋根裏部屋の絶大な効果
リビングルームから上部の屋根裏部屋を眺めると、視線が遠くまで抜けることで、視覚的な奥行きが生まれます。そのため、空間に一段と広がりが感じられるのです。これは、都市部の狭小住宅などで使われることが多く、限られた空間で解放的に暮らすためのアイデアですね。
こちらのお宅では、計画時は屋根裏部屋の足元は腰壁で塞がれていたそうですが、工事が進む段階で二階が解放的な大空間になった姿をみて、現在のような「カウンター」を急遽デザインしたのだそう。屋根裏部屋を壁で塞がずに、手すりやカウンターにすることで、より空間が広く感じられます。また、カウンターで読書をしたり、勉強をするなど使い方にも幅が広がりそう。
こちらのお宅は、スキップフロアの間取りにすることで、立体感のあるユニークな作りに。スペース同士の仕切りを手すりと透明のパネルにすることで、家全体が一つの空間に感じられます。また、もともとは登り梁の下にあるはずだった通し柱をあえて取り払い、開放感を優先。リビングにロフトのスペースをあえて作ることで、空間はひと続きでありながら、程よく仕切りのある絶妙な空間になっています。構造の自由度が高いSE構法の家だからこそ可能な、大胆な間取りですね。
おこもり感を大事にした、ひと部屋感覚の屋根裏部屋
屋根裏部屋の開口部をオープンにすると、空間に広がりが感じられます。一方でおこもり感を大事にしたいなら、あえてクローズドな空間に。完全にひと部屋にしてしまう手もありますが、光や風通しを確保したいなら、壁の作り方に工夫してみましょう。
こちらのお宅では、空間の両サイドに本棚を設けることで、家族の読書スペースが天井裏に出現。このように下から丸見えにしない作りにすると、絶妙なおこもり感が生まれます。家族に邪魔されず、家の中でひとりになれるスペースを確保することもできますね。また、屋根裏部屋を収納として使うのであれば、下から見えない作りにするのがベスト。
こちらは、45度の屋根勾配に、規則正しく並ぶエンジニアリングウッドの登梁が特徴の家。山小屋をイメージしたということもあって、おこもり感や秘密基地っぽさ満点です。リビングルームとの開口部には腰高の壁を設け、上から下を覗けるように、下からは上の気配が感じられるようになっています。時にはご主人がこもるスペースになったり、時にはお子さまたちの遊び場に、そして収納スペースにもなるなど、さまざまな用途に使える屋根裏部屋になっています。
読書スペースやシアタールームなど、屋根裏部屋が家族の憩いの場に!
屋根裏部屋やロフトは、本来は収納スペースとして使われることが多かったようですが、最近では活用の仕方も多様化してきました。
こちらのお宅のように、開口部一面を大きな本棚にして、あえてインテリアの一部として見せるアイデアも。屋根裏部屋にも窓を設置すれば、明るさもしっかり確保できて居心地のよい空間に。屋根裏部屋も快適に過ごせる空間にすることで、単なる収納場所ではなく、家族が憩える場所にもなるのです。
こちらでは壁一面にプロジェクターを投影できるようにしたことで、シアタールームとして楽しめるようになっています。貸し切りの映画館のような、なんとも贅沢な空間。一人で集中したい時はもちろん、家族みんなで映画を観ながらリラックスタイムを過ごすというのも素敵ですね。親子・夫婦水入らずの時間も過ごせそうです。
階段にも個性を出して、屋根裏部屋を空間のアクセントに!
屋根裏部屋は今や、実用的な収納スペースにとどまりません。デザイン性の高い階段や手すりを設置すれば、空間にアクセントを加えてくれます。温もりのある木の家に、黒の無骨な階段と手すりで、キリッと締まった印象になります。
急勾配屋根でできる屋根裏空間を活かして、屋根裏部屋を設けたこちらのお宅。屋根裏部屋は子どもたちのベッドが置ける空間を二箇所確保しています。鉄工所でオーダーした、垂直階段も印象的。楽しそうにハシゴを登る子どもたちの様子が思い浮かびますね。
ハシゴで登るタイプの屋根裏部屋は、荷物を持って上がるのがなかなか大変。収納としても使いたい場合は、ハシゴではなく手を使わずに登れる階段にするのがおすすめです。こちらの事例では、屋根裏部屋にカウンターを設けて、スタディスペースとしても活用しています。まるで金管楽器のような真鍮製の造作の手摺がアクセントとなったおしゃれな階段です。
まとめ
屋根裏部屋やロフトをリビングや子ども部屋などに設ける場合は、どんな使い方をしたいのか、子どもの成長に合わせて使い方も変化させたいなど、ある程度用途を絞って考えるのがいいでしょう。それに合わせて解放的に作るのか、こもるために壁で仕切るのかなど決めていくのがスムーズです。丈夫な構造で空間の自由度が高いSE構法だからこそ、家族の希望に合った屋根裏部屋やロフトを作ることができます。