リビング階段にはスケルトン階段がおすすめ?吹き抜けにすべき?間取りの注意点は?

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近年、「リビング階段」が注目を浴びています。必ずリビングを通って自室へ向かう構造のため、家族が触れ合う時間が増えたり、家族の様子を自然と伺ったりしやすい点が人気の理由なのかもしれません。今回はリビング階段におすすめしたい階段のデザインや、間取りで気を付けること、メリット・デメリットなどについて詳しくご紹介します。
リビング階段とは? ホール階段との違い
リビング階段とは、リビングやLDK内に設置された階段のことを指します。インテリア性が高く、リビングをおしゃれに格上げしてくれます。必ずリビングを通って上下階へ移動する動線になるため、家族が自然と顔を合わせる機会が増え、コミュニケーションを取りやすいのが特徴。
一方のホール階段は、玄関ホールや廊下に設置される階段です。リビングを通る必要がなくプライバシーを確保しやすい点がメリットです。それぞれの特性を理解し、ライフスタイルに合った間取りを選びましょう。
リビング階段のメリット
リビングのアクセントになる
リビング階段は、階段自体がインテリアの一部になるため、リビングのアクセントとしておしゃれな雰囲気を演出できます。スケルトン階段やアイアンの手すりを取り入れれば開放感のあるモダンなデザインに、木材を使えば温かみのあるナチュラルな空間に。インテリアスタイルに合わせて選ぶと、リビング全体の印象を大きく変えることができます。
効率的な間取りを実現できる
リビング階段を設けると廊下やホールを最小限に抑えられるため、限られた床面積を有効に活用できます。特にコンパクトな住宅では、無駄なスペースを減らし、広がりのある間取りを実現できるでしょう。また、移動の際に廊下に出る必要がなくなるため、生活動線もシンプルになります。LDKを中心として各部屋へのアクセスがスムーズになり、家事効率も向上します。
階段下スペースを有効活用できる
リビング階段では、デッドスペースになりがちな階段下スペースを多目的に活用できます。本棚やチェストを設置すれば、すっきりと整理できる収納スペースになり、デスクを設ければワークスペースや子どもの勉強の場所に。テレビボードを置いたり、ヌックとして活用するのもよいですね。
リビング階段のデメリット
プライバシーを確保しにくい場合も
リビング階段は必ずリビングを通る動線のため、家族の行動が把握しやすい反面、プライバシーの確保が難しくなる場合もあり得ます。来客時には、家族以外の人と顔を合わせる機会も増えるでしょう。リビング階段のある生活は、礼儀やコミュニケーション能力が身につきやすい環境とも言えそうですね。家族のライフスタイルに合わせて検討するようにしましょう。
上階や階段からホコリが落ちてくる
リビング階段は、吹き抜けやオープンなデザインと組み合わせることが多いため、2階や階段からのホコリがリビングに落ちやすいこともあるかもしれません。対策としては、空気の流れを考慮して換気を工夫したり、カーペットやマットを敷いてホコリが広がるのを防ぐこと等があります。こまめに掃除することを心がけましょう。
リビング階段を設置する際の注意点
リビング階段の採用を決める前に、いま一度「リビング階段のある生活」をイメージしてみてください。
お子さんが大きくなり、プライバシーを求めるようになったときはいかがでしょう。また、ご家族のどなたかがご友人を連れてきたときのため常にリビングを美しく保たなければならないとしたらどうでしょう。
はいはいができるようになったお子さんや、やっと歩くようになったお子さんが、階段に近づき、転落するようなことはないでしょうか。
特に注意したいのが、間取り、つまり生活動線です。リビング階段そばにトイレやバスルームがあれば、思春期のお子さんが使いにくいだけでなく、お客様がきたときに「ちょっとトイレを……」と言い出しにくくなってしまうかもしれません。
将来、ご両親との同居を見込んでいるとき、1階に設けるであろう親御さんの寝室に夜間の物音が響き、「眠れない」という状況が生まれないかどうかも考えておかなければならないかもしれません。
リビング階段を設置する際は、「今現在考えられる生活動線」から「将来の生活のあり方」までも含んで検討しましょう。
リビング階段の設置場所
リビングの入り口付近
リビング階段の設置場所として多いのが、リビング入り口付近です。玄関からリビングに入ってすぐに2階へ上がることができるため、動線がスムーズになります。家族とのコミュニケーションが取りにくくなる可能性がありますが、来客時にはさほど気を遣わずにすむでしょう。また、リビングの中心部を広く使えるため、開放的な空間を確保しやすくなります。
リビングの真ん中
リビング階段を空間のアクセントとしておしゃれなデザインを楽しみたい場合には、リビング中央に設置するのがよいでしょう。階段までの動線が長くなる分、家族とのコミュニケーションをとる機会も増えることが期待できます。リビングのどこからでも階段にアクセスしやすい間取りになりますが、生活動線が複雑にならないように、家具の配置には注意しましょう。
リビング奥
リビングの奥に階段を配置すると、生活スペースを広くとることができます。リビングやダイニングのレイアウトもしやすく、家族とのコミュニケーションが取りやすい点も魅力です。玄関から2階への移動のしやすさを考慮し、できるだけスムーズなルートを確保する工夫が必要になります。
リビング階段は吹き抜けにすべき?
リビング階段と吹き抜けは非常に相性がよく、明るく開放的な空間をつくることができます。狭小住宅などでリビングスペースを広めに確保できないという場合でも、視覚的な効果で実際の面積以上の広がりを感じさせることができ、階段下のデッドスペースにテレビボードやワークデスクなどの家具を置けば、限られた空間を有効に活用できます。
しかしながら、リビング階段と吹き抜けの組み合わせはメリットも多い一方で、いくつかのデメリットもあります。ここでは、メリット・デメリットに加え、困った時の対策も併せてご紹介していきますので、ぜひ参考にしてみてくださいね。
吹き抜けにする場合のメリット
開放感がアップする
吹き抜けのあるリビングは、天井が高く視界を遮るものがないため、圧倒的な開放感を生み出すことができます。その空間にリビング階段を設ければ、リビングにいても、上階にいても、階段を上り下りしている最中でも、どの場所にいても視線の広がりを感じることができます。天窓やハイサイドライトなどを設ければ、上階から下界へ明るさをもたらし、その開放感はより一層増すことでしょう。
家族のコミュニケーションが増える
リビング内に階段があるということは、上下階の移動に必ず階段を通るという事です。外から帰って来た家族が必ず一度はリビング内に入ることになりますので、いつも「お帰り」や「ただいま」、「行ってきます」「いってらっしゃい」と言ったコミュニケーションが取りやすくなりますね。また家族が家の中に居る時にでもリビング階段と吹き抜けという組み合わせで上階に居る家族にも声が届きやすいので気軽にコミュニケーションが取れます。
スキップフロアをワークスペースに活用できる
リビング内に階段を作ることで階段が上下階の空間と一体化出来ることはお伝えしましたが、その階段の踊り場にもう少し余裕のあるスペースを作ったら、そこはスキップフロアとしてリビングとも上階とも階段とも、そして吹き抜けとも一体感のあるまったく別の用途として使える空間が出来上がります。空間としては一体感がありながらも床のレベル差があることで、気分を変えて一人だけで過ごすことも出来ますし、そうでありながらも他の家族の雰囲気は感じることが出来る安心感のあるスペースと言えます。
吹き抜けにする場合のデメリットと対策
寒さ・暑さ対策を考える
吹き抜けのあるリビングにすれば、上下フロアの二層がつながった大空間ができあがります。空間が広くなると冷暖房効率が下がってしまうことから、吹き抜けにすることを躊躇されている方も多いのではないでしょうか。
対策の一つは、住宅そのものの気密性や断熱性を高めること。窓や壁、床、天井などの隙間を塞ぎ、断熱材を充填することで、快適な温熱環境をつくることができます。あるいは、ファンやサーキュレーターを活用し、室内の温度を均一に整えるという方法も有効です。吹き抜けの上部に開口部を設ければ、熱気を外に逃し、室内に空気の流れをつくることができます。また、上部に暖かい空気が溜まるというデメリットを逆手に取り、洗濯物干しスペースなどに活用しても良いでしょう。
音・ニオイ対策を考える
吹き抜けのデメリットとしては、大空間を通して音やニオイが広がりやすいことも挙げられます。対策の一つは、吹き抜け上部に間仕切りをつくるという方法。2階には個室をつくるケースが多いため、個室につながる廊下などに扉をつけると良いでしょう。可動式の間仕切りであれば、用途に応じて開け閉めができ、自由な使い方が可能となります。
家具のレイアウトもまた、有効な対策の一つとなります。音やニオイの通り道に収納や本棚などを配置すれば、間仕切りとなって広がりを防ぎ、快適な空間をつくることができるでしょう。
吹き抜けにしない場合のメリット&デメリット
・1階リビングの天井の一部に穴を開け、そこを通過するように階段を設置する
このようなイメージで捉えていただければと思います。この場合のメリットは、生活音や調理のにおいなどを2階にダイレクトに伝わらないようにしつつ、リビング階段の良さ(家族が顔を合わせるなど)を取り入れられる点です。
しかしながら、やはりデメリットもあります。ここでもまた、空調の問題が浮かび上がります。吹き抜けほど大きくはありませんが、やはり温めた空気が階段を伝って2階に上がっていくという事は否めません。
リビング階段にはスケルトン階段がおすすめ
リビングに階段を設けるとなると、デザインや大きさによっては圧迫感を与えたり、空間が暗くなってしまったりすることがあります。このような自体を避けるためには、階段選びはとても重要となります。ここでは、リビング階段におすすめの階段として「スケルトン階段」をご紹介します。メリット・デメリットや、注意点について一緒に考えていきましょう。
スケルトン階段とは?
スケルトン階段とは、踏み板とそれを支える骨組みだけで構成されている階段のことを指します。段と段の間の板(蹴込み板)がないのが特徴で、別名「オープン階段」「シースルー階段」「ストリップ階段」などと呼ばれています。
スケルトン階段のメリット
圧迫感がない
スケルトン階段のメリットのひとつは、圧迫感のなさでしょう。スケルトン階段の構造は、段板も薄く、柱や手摺も細く作られていることが多いので、空間に馴染みやすいといえます。蹴込み板のない構造なので、室内に落とす影の量も減ります。これによって圧迫感を抑えて、開放的な空間が実現します。
光を遮らない
スケルトン階段の構造上、薄い段板や細い柱で構成されているので、室内に入り込んだ光を階段によって遮らず、階段の奥の空間まで届けることができます。また、その部材の細さから階段自体の存在感を薄くし、住空間がより広く感じることができるとも言えるでしょう。
空気の循環を邪魔しない
空気循環を妨げないことも、メリットの一つ。スケルトン階段は蹴込み板がないなど、部材同士の隙間が多く、空気が自由に流れやすい構造となっています。一般的な階段よりも通風性に優れたデザインであるため、室内の空気が階段周辺に溜まることもなくなります。
スケルトン階段のデメリットと対策
スケルトン階段はおしゃれで開放感のあるデザインが魅力ですが、いくつかのデメリットもあります。蹴込み板がないため、踏み込みすぎるとスネをケガしてしまう恐れがあり、小さな子どもがいる家庭では落下リスクに注意が必要です。
光や空気の通りを確保しようとすると、階段下に収納スペースがつくりにくいことも。これらの問題には、階段の踏み面を広くとるとともに段差を浅くして安全性を高めたり、手すりの設置やネットを張るなどの対策をすることが有効です。折り返し階段やらせん階段を採用すれば、デッドスペースも最小限に抑えられるでしょう。
スケルトン階段を取り入れる際の間取りポイント
全体のバランスを考えながらデザインを決める
スケルトン階段を取り入れる際に、デザイン面で注意するポイントは何でしょうか。LDKの中で、階段をデザインのアクセントとして目立たせたいのか、もしくはインテリアの一部として空間に馴染ませたいのかをまず考えるといいでしょう。それによって、階段に使う部材や色も決まってきますし、デザインについても同様のことが言えます。また、インテリアに合わせたいと考えるのであれば、先にLDKのインテリアについても考えておく必要がありますね。
将来を見通して設置場所を検討する
スケルトン階段を設置する場所も、重要なポイント。スケルトン階段に限らず、リビング階段を設ける場合は、他の場所に比べてプライバシーの確保が難しく、リビングの中でも目につきにくい場所に設置する配慮が必要となる場合があります。また、スケルトン階段は隙間の多いデザインであるため、移動中の姿が見えやすく、角度によってはスカートの中が見えてしまう恐れもあります。
また、多感な時期のお子さんは、なるべく家族と顔を合わせたくない場合や、リビングから自室が見えてしまうことを嫌がる場合もあります。このため、将来の見通しを踏まえながら、設置場所を決める必要があります。
落下防止などの安全対策も忘れずに
スケルトン階段は、部材が薄く細いため、部材同士の隙間が大きいというのが特徴です。うっかりしていると、その隙間から物を落したり、人が滑り出る可能性もゼロではありません。大人であれば、気を付けて上り下りをすれば問題はありませんが、家族の中に小さな子供や年配者が居た場合は、安全対策を講じる必要があるでしょう。
細い格子の手摺や段板同士の隙間の安全策としては、ネットや透明の板を取り付けるというものがあります。また、階段自体にアクセスできなくするという方法もあるでしょう。
【実例8選】伸びやかな空間を実現したリビング階段
リビング階段のスキップフロアから別の風景を楽しむ
吹き抜けリビングに設けられたスケルトン階段は、途中でスキップフロアにアクセスできるようになっています。大開口を通して、1階からもスキップフロアからも外の景色が見える設計となっており、違った角度で楽しむことができます。1階のリビング上部が吹き抜けになっている一方、連続したダイニング部分には天井を設けています。音や臭いが上階に伝わりにくい工夫が嬉しいポイントです。
リビング階段を通して、ウッドデッキへもダイレクトに
こちらは、リビング階段を下りていく途中の眺め。正面に開口部が設けられ、ウッドデッキの外側へ視線が抜けていきます。階段を下りて右手にはキッチン、左手にはリビングという造りとなっています。吹き抜けによって開放的なLDKが生み出されている中で、中央に配置されたリビング階段が空間のアクセントに。空間を緩やかに仕切りつつも、家族のつながりを感じやすい設計となっています。
リビング階段を上るとギャラリーにアクセスできる
吹き抜けリビングの階段を上っていくと、壁一面に本棚が広がっています。手前側のスペースは、ゆったりとした広さを確保しているため、座り込んで読書に没頭できそうです。コレクションやアート作品などを飾れば、ちょっとしたギャラリースペースとして使用することも。階下のリビングからも眺めることができます。本棚の向こう側には個室を配置しています。本棚をくり抜くように出入り口がデザインされており、隠れ家のような雰囲気に。視線が入りにくく、プライベートとパブリックがうまく分けられています。
リビング階段で一つの空間の中に様々な用途を作る
こちらは、LDKの一部に吹き抜けを作った例。省スペースで吹き抜けを作りたい人にマッチしたデザインと言えます。リビング内部に階段から続くスキップフロアのような形でワークスペースもあります。段差を作ることで領域を分けつつ、空間としては一体感をキープしています。リビング階段の上部に開口を設けることで吹き抜けからリビングにかけて光が十分に届き、リビングの壁面を有効利用できるというメリットもあります。
おしゃれな黒いスチールのリビング階段
大きなデッキのある中庭に面したLDKに設置された、スケルトン階段。黒のスチールと木製の段板の組み合わせは、空間の雰囲気にマッチしたインテリアのようにも見えます。中庭側には大開口があり、LDKを明るくしていますが、さらに階段脇のスリットのような開口部から入ってくる光も、階段を通してLDK内部まで届いています。また、キッチンから階段がすぐに目に入りますので、家族が外出した時、帰宅した時など、家族とのコミュニケーションも取りやすくなっています。
ブラックのスケルトン階段がモダンな印象のリビング
直線的なデザインが印象的なリビングにある、全てがブラックのスケルトン階段。階段がアクセントとなり、リビングがより洗練された空間となっています。蹴込板が木製のスケルトン階段はよく目にしますが、モノトーンのシンプルなLDKには、ブラックの階段が似合っています。部屋のテイストに合わせたデザインの階段を選べるのも、デザイン性が高く、バリエーションの多いスケルトン階段ならではの魅力と言えそうです。
インテリアとしても存在感を放つスタイリッシュなリビング階段
LDKの一部に設置されたスケルトン階段は、木製の段板とダークカラーのスチールの骨組みがシックな印象を演出しています。ダイニングテーブルとの色味もマッチして、空間全体の一体感を高めています。スケルトン階段の下部には、カウンター幅のテーブルとベンチが置かれています。階段下は収納スペースとして使われることが多いですが、階段がスケルトンである事で、この場所で過ごしていても2階までの天井高があるような開放感を味わえます。
人気のイナズマ階段で軽やかな印象に
こちらのスケルトン階段は、稲妻模様に見える人気のデザイン。黒色に塗装された鉄骨が木の柔らかな空間を引き締めています。右手にダイニング、左手にリビングを配置した大空間で、リビング上部は吹き抜けとなっています。また、スキップフロアで床の高さを変え、空間を緩やかにゾーニング。段差を利用した造作ベンチも、お洒落な空間を引き立たせる良いアクセントになっています。
まとめ
リビング階段のデザインや設置場所は、リビングの印象を大きく左右する重要なポイントです。また、吹き抜けと組み合わせたり、スケルトン階段を採用したりすれば、明るく開放的な空間を演出し、家族のつながりをより一層感じることができるでしょう。
リビング階段を計画される場合は、メリットやデメリットの両面を踏まえつつ、家族のライフスタイルに合わせて検討しましょう。また、たくさんの実例を見ていく中で、家族にぴったりなリビング階段のヒントを見つけてくださいね。