平屋をおしゃれにアレンジ! 内観や外観のポイント&スタイル別実例

平屋をおしゃれにアレンジ! 内観や外観のポイント&スタイル別実例のインデックス
子育て世代からシニア世代まで、幅広い世代から人気を集める平屋住宅。シンプルで無駄のない造りであるからこそ、自由なアレンジを楽しむことができます。機能性とデザイン性を兼ね備え、長きにわたって暮らせる家づくりのヒントとして、今回は「おしゃれな平屋」をテーマに解説していきます。
平屋とは?
平屋とは、1階のみで構成される住宅のこと。日本の伝統的な家の造りですが、現代のライフスタイルに合った洋風住宅にも採用されています。家の設備が全てワンフロアに集約されているのが特徴で、間取りがシンプルで動線がコンパクトなので、近年幅広い世代から人気を集めています。
平屋のメリット
平屋はなぜ老若男女から支持されているのか。その理由は、フラットな造りならではの機能性の高さにあります。ここでは、平屋の三つのメリットについて詳しく解説していきます。
生活の全てがワンフロアに収まる
家庭内事故の中でも階段における転倒・転落事故は特に多く発生しています。1階建てである平屋は上下階の移動がないため、小さな子どもからお年寄りまで、全ての年代の家族が安心して過ごせるバリアフリーな設計と言えます。また、生活動線がコンパクトで、家事負担を軽減できるのも魅力です。
開放感のある空間を作れる
住宅の高さは、建てられる土地ごとに制限が設けられています。平屋は一般的な2階建て住宅と比べて高さの上限までかなりの余裕があり、ある程度自由に天井高を設定できます。戸建の一般的な天井高は2.4mですが、平屋であれば3mもの広々とした天井が可能になります。また、2階部分の重みがかからない分、構造が安定しており、柱や壁の少ない大空間を作ることができます。
家族の今と未来に柔軟に対応できる
平屋では家族みんながワンフロアで生活するため、大人は家事や仕事をしながら子どもたちを見守ることができます。同じフロア内の部屋同士は用途の変更がしやすく、将来的に使われなくなる子ども部屋も有効に活用できます。また、老後はフラットな空間のおかげで階段を昇降する必要がなく、移動にストレスを感じることなく暮らせるでしょう。
平屋のおしゃれなつくり方①外観
平屋の外観は凹凸のない洗練されたフォルムが特徴です。この美しさを引き立てるシンプルさを追求しつつ、個性を発揮するためのポイントを紹介していきます。
外壁
外観面積の大部分を占める外壁は、おしゃれな平屋づくりにおいて最も大事な要素の一つ。人気の色味としては、明るく清潔感のあるホワイトや、汚れが目立ちにくいグレー、どのような系統にも合わせやすいベージュなどが挙げられます。外壁をツートンカラーにするという選択肢もあり、単色では表現しきれない視覚的なインパクトを実現します。
また、外壁材の中でもセメントベースの窯業系サイディングは、色調やデザインのバリエーションが多く、好みのものを見つけることができるでしょう。サイディングには窯業系のほかに、温かみのある木質系や、シャープで洗練された印象の金属系などがあります。
窓
平屋は構造が安定しているため、開口部を大きくとることができます。大きな窓は見た目のアクセントになり、開放感をもたらします。高い天井にトップライトやハイサイドライトを設けても良いでしょう。一方で、建物の高さが低いため、採光計画の工夫やプライバシー対策も必要です。家のイメージに合わせてカーテンやブラインド、ルーバーなどを選びましょう。
玄関扉
玄関扉は家の顔と言っても過言ではない、重要なパーツです。開き戸や引き戸、さらに細かく様々なタイプに分かれていて、素材や色味に関しても金属カラーや木目カラーなどバラエティーに富んでいます。基本的には外壁の色や素材に合わせて選ぶことをおすすめしますが、アクセントカラーを用いて遊び心を演出しても良いでしょう。しかし、あまりにも奇抜な色を選ぶと、家全体の雰囲気と調和が取れず、チグハグな印象になってしまうため注意が必要です。
平屋のおしゃれなつくり方②屋根
平屋はフラットに広がる造りであるため、一般的な住宅よりも屋根の面積が大きくなります。見た目に大きく影響するため、平屋の外観づくりにおいて屋根選びは特に重要と言えます。
シルエット
平屋に使われる屋根は多数ありますが、おしゃれな家づくりにおすすめの形状として「片流れ屋根」「切妻屋根」「陸屋根」の三つを紹介していきます。
片流れ屋根は、大きな一枚屋根が一方向に傾くようにデザインされています。角度が大きいものはダイナミックな印象になり、小さいものは落ち着いた雰囲気を作ります。ソーラーパネルの設置に適しており、南向きに傾ければ効率よく太陽光発電を行えます。
切妻屋根は、いわゆる三角屋根のこと。平屋に限らず住宅づくりで最もスタンダードな形状です。昔ながらの日本家屋にもよく見られ、軒が大きく出ているものはクラシックな印象を与えます。モダンな印象の平屋にしたい場合は、軒を小さくすると良いでしょう。
陸屋根はフラットなタイプの屋根を指し、シンプルな箱型のシルエットを作ります。例えば、小さくコロンとした正方形の家は可愛らしい印象になり、背が低く横に長い長方形の家はクールな印象になるでしょう。屋根に勾配がないため、屋上にルーフバルコニーを設けられる点も魅力です。
屋根材
屋根の形だけでなく、材質にも注目してみましょう。屋根材は大まかに「瓦」「ストレート」「金属」の3種類に分けられます。
瓦屋根は、主に粘土を焼いて生成されたもの。一枚一枚が波打つように並べられ、断熱性や遮音性にも優れています。釉薬を塗った瓦は艶があり、防水性に優れているのが特徴。無釉薬瓦は素朴な土の風合いが色濃く残り、経年による色むらを楽しむことができます。
ストレート屋根は、粘板岩を板状に加工した屋根材のことで、薄くて軽いという特徴があります。住宅用屋根材として広く普及しているのは、セメントと繊維質を混ぜて作った「化粧ストレート」と呼ばれるもので、価格が安く、カラーバリエーションが豊富にあります。
金属屋根は、金属板を薄く加工して長い板状にした屋根材のこと。屋根の形状に合わせて使用でき、複雑な形の屋根にも適応できます。金属屋根の中でも特に人気が高いのが、ガルバリウム鋼板で、価格が安く、デザインが豊富な点が化粧ストレートに似ていますが、より耐久性に優れています。
平屋のおしゃれなつくり方③屋外空間
平屋は全ての部屋が1階にあり、屋外に出やすい点も魅力の一つ。室内からのアクセスが良く、その上、おしゃれで快適な屋外空間を作ることができれば、家族が集う憩いの場となるでしょう。
テラス・ウッドデッキ
平屋の屋外空間を充実させるためには、テラスやウッドデッキがおすすめです。テーブルやソファを置いてアウトドアリビングにすれば、おしゃれなリラックス空間が完成します。庭にシンボルツリーや草花を植えたり、豊かな自然を借景として取り入れたりすれば、ガーデンカフェのような空間を作ることができるでしょう。ただし、デッキと家具の劣化を放置したり植栽の手入れが不足したりすると、せっかくのアウトドアリビングが見苦しい空間になり、家全体の調和も損ねます。このため、定期的なメンテナンスが必要です。
中庭
中庭は外からの視線を遮るため、家族だけのプライベートな屋外空間を作ることができます。中庭を囲むように大開口を設ければ、家の中から外に視線が抜け、開放感が生まれます。また、光と風をたっぷり取り込むことができるため、家全体を明るく爽やかな印象にすることができます。中庭のある平屋の間取りとしては、ロの字型や、コの字型、L字型などがあり、プライバシーと開放感のバランスを考えて決めると良いでしょう。
平屋のおしゃれなつくり方④内装
平屋の魅力は何と言っても、フラットに広がる大空間。内装を工夫すれば、空間を縦方向にも横方向にもさらに広く感じさせることができ、すっきりと洗練された印象の部屋を作ることができます。
天井
平屋は天井高をある程度自由に設定できるので、ぜひ天井を高くとって空間を広く演出しましょう。例えば「勾配天井」は、片流れ屋根や切妻屋根などの傾斜に合わせて天井を斜めにする方法で、傾斜が大きければ大きいほど天井が高くなります。アクセントクロスを張ったり、板張りにしたり、仕上げの工夫で個性を出すことができるほか、現し梁を大胆に見せてダイナミックに演出することもできます。
間仕切り
平屋の安定した構造は、壁や柱が少ない広々とした空間を可能にします。平屋ならではの開放感を味わうために、間仕切りを極力減らした設計にしてみてはいかがでしょうか。とはいえ、用途ごとに部屋を仕切りたい、家族間のプライバシーを守りたい、といった様々な理由で個室を必要とする場合があるでしょう。そのような場合は、引き込み戸やパーテーションといった可動式の間仕切りがおすすめです。
スキップフロア
広々とした大空間は開放感がある一方、単調になってしまうことも。そのような場合は、スキップフロアで床に段差を生じさせて空間に変化をつけるという方法があります。スキップフロアは間仕切りを設けずに、床の高さの違いだけで空間を区切るため、平屋の開放感を損ねる心配がありません。また、段差の上と下にスペースを設ければ、限られた敷地内で床面積を増やすことができます。
内壁
平屋の美しさを引き立てるためには、壁紙もシンプルな色味を選ぶと良いでしょう。特に白色の壁紙は空間を広く見せることができ、シンプルゆえに様々なアレンジを可能にします。あるいは、ベージュやカーキなどのアースカラーや、珪藻土や漆喰、板張りなどの天然素材の壁を選べば、大自然に包まれているかのような心地の良い空間を演出できるでしょう。
家具
内装のおしゃれを考える上で、もちろん家具へのこだわりも欠かせません。家具を部屋全体のテイストとうまく馴染ませることができれば、整然とした印象の空間を作ることができます。手持ちの家具を新居でも引き続き使いたいと考えている場合は、設計段階で建築会社に見てもらい、内装のイメージを合わせてもらいましょう。
また、壁や床などと同じ素材で家具を造作するのもおすすめです。ミリ単位で寸法を指定できるので、無駄のないすっきりとした空間を作ることができます。
平屋のおしゃれなスタイル実例
家を新築するにあたり、どのようなテイストにするか決めかねている方もいらっしゃるのではないでしょうか。「重量木骨の家」は、様々なテイストで建てられた平屋をご紹介しています。豊富な実例を参考に、イメージを膨らませてみてくださいね。
【和風】二間続きの広々とした和室
これぞ平屋といった純和風の日本家屋。こちらは6畳と8畳の二間続きの和室で、内装の優しい色使いと障子から入る柔らかい光が、心安らぐ和空間を演出しています。開口部を大きくとっているため、ふすまを開ければ大広間に早変わり。来客動線を考えて玄関脇に設けているので、プライベートな空間ときっちり分けることができています。
【和モダン】LDKと繋がる土間空間
昔ながらの土間が現代的なLDKの中で静かな存在感を放ち、和とモダンの調和のとれた空間を作っています。土間は掃除が楽で火の取り扱いも安心。薪ストーブを置くことで、冬も暖かく快適に過ごすことができます。また、土間上部に梁を渡したり、床と天井を板張りにしたりするなど、木をふんだんに見せることで温かみを感じさせています。
【モダン】モノトーンで統一したLDK
こちらは、23帖の広さのLDK。内装をモノトーンで統一し、シャープな印象を与えています。その中でも温もりのある木の質感や、室内にグリーンを取り入れることで、無機質になりすぎず安心感のある空間となっています。また、勾配天井にするだけでなく、ハイサイドライトを設けることで、室内から空への抜け感を楽しめます。
【カフェ風】緑に囲まれた癒しの空間
豊かな自然を眺めながらお茶できる、ナチュラルテイストのLDK。こちらの事例も、内装や家具に木がたくさん使われていて、ほっと落ち着ける空間となっています。LDKとフラットにつながるウッドデッキは、自然の恵みをたっぷり受けられる開放的なスペース。LDKとウッドデッキの境目にはタイルが張られていて、掃除がしやすく、見た目のアクセントにもなっています。
【リゾート風】贅沢にくつろげるテラス
こちらは、1000㎡もの広さの土地に建てられた大豪邸。コの字型の間取りになっていて、中庭のテラスにアウトドアリビングを設けています。モノトーンな外観に合わせて、ガーデンファニチャーも同系色で揃えています。ゆったりとくつろげるテーブルやチェアを設け、まるでリゾートホテルのようなラグジュアリー空間を演出しています。
【アメリカン】爽やかなツートンカラー
日本建築のイメージが強い平屋ですが、アメリカンなスタイルともマッチします。こちらの事例の大きな三角形の切妻屋根は、アメリカの伝統的な家によく見られる特徴。外壁はライトブルーとホワイトのツートンカラーで、西海岸を連想させる爽やかで明るいイメージになっています。幅の細い板を一枚ずつ重ね張りするラップサイディングもまた、アメリカで主流の外壁仕上げです。
まとめ
今回は、おしゃれな平屋というキーワードで家づくりについて考えてみました。平屋はシンプルでフラットな造りであるからこそ、さまざまな好みやライフスタイルに合った家づくりを実現できます。自分や家族がどのような暮らしを送りたいのかイメージを固めて、おしゃれで快適な平屋を作ってみてくださいね。