ドライエリアで地下空間を快適に。メリットやデメリットを徹底解説

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家づくりを考えるとき、地下空間は「暗い」「閉塞感がある」といったイメージを持たれがちですが、工夫次第で快適な空間にすることができます。その一つの方法が「ドライエリア」です。地下に光や風を取り込み、居住スペースとして活用しやすくするこの手法は、都市部の住宅にもぴったりと言えそうです。今回は、ドライエリアのメリットやデメリット、設計のポイントについて詳しくご紹介します。地下を有効活用したい方はぜひ参考にしてください。
ドライエリアとは?
ドライエリアとは、建物地下室の周囲を掘り下げて造るスペースのことです。「空堀(からぼり)」とも呼ばれ、地下空間に自然光や風を取り入れる役割を果たします。地下室は暗く閉鎖的な印象がありますが、ドライエリアを設けることで開放感が生まれ、快適な空間に変わります。まるで「地下室の庭」のような空間で、プライバシーを確保できるのも魅力。地下空間を活かした家づくりを考えている方におすすめの設計手法といえるでしょう。
ドライエリアのメリット
地下に開放感をもたらす
地下室は暗く閉塞感を感じやすいイメージがありますが、ドライエリアを設けることで開放感のある空間になります。窓を設置できるため、自然光を取り入れることが可能になり、照明がなくても明るい地下室を実現することができます。また、自然の風も取り込めるため、湿気がこもりにくく、カビや結露のリスクも軽減。風通しが良くなり、地下でありながらも開放的な気分を感じられるでしょう。
地下室を居住空間にできる
ドライエリアを設けると、居室に必要な窓をつけることができるので、自然光を取り入れたり換気を確保しやすくなります。単なる物置や倉庫になりがちな地下室が、居住空間として使いやすい空間となるでしょう。また、地下室が総床面積の1/3以内であれば、容積率の計算において延床面積に含まなくてよいと定められています。地上階で十分な広さを実現できない場合でも、ドライエリアのある地下室を設けることで十分な延床面積を持てる可能性があります。
プライバシーを確保できる
ドライエリアのある地下室は、外から見えにくく、プライバシーを確保しやすいというのもメリットです。外の視線が気になりにくいので、大開口の窓を設置することも可能に。住宅密集地など隣家との距離が近い場合でも、ドライエリアのある地下室があれば、お隣を気にすることなくカーテンや窓を開けられます。また、道路に面した部屋よりも人目につきにくいことから、安全性を重視した家づくりを考えている方にもおすすめです。落ち着けるプライベート空間をつくりたい方にはぴったりですね。
ドライエリアのデメリット
建築コストがあがる恐れがある
地下室をつくる時点で一般的なプランよりもコストがかかりますが、ドライエリアを設けると更にコストが上がってしまうことも。掘る地面の幅や広さ、深さに応じて価格は変わりますが、建てる場所を含め総合的に計画する必要があり、地盤が弱い土地では補強工事が必要になることもあります。予算バランスを考えながら、無理のない範囲で快適な地下空間を実現しましょう。
断熱性・防音性が弱まることも
ドライエリアを設置すると採光性や換気性は向上しますが、断熱性や防音性の面では注意が必要です。地下室は周囲を壁で囲われているため断熱効果や防音効果が高いという特徴がありますが、ドライエリアがあると、開口部がある分どうしてもそのような地下室の性能が低下しがちになります。ワインセラーなど開口部がない方が適している場合もあるため、地下室の利用目的に合わせてドライエリアの有無やサイズ感を検討しましょう。
ドライエリアを設ける際の注意点
雨水への対策をしっかりと
ドライエリアは地面より低い位置にあるため、雨水が溜まりやすく、排水対策が必須です。適度な勾配をつけた排水溝や排水ポンプを設置するなど、しっかりとした計画が求められます。また、大雨の際に水がすぐに流れ込まないように、ドライエリア上部にグレーチングや庇を設けたり、地上に出ているドライエリアの壁を高くしておくと安心ですね。水害リスクを軽減し、安心して暮らせるドライエリアを目指しましょう。
空間をうまく活用しよう
ドライエリアを設けることで地下空間が快適になりますが、そのスペースをどのように活用するかが重要です。例えば、植栽を取り入れて緑を楽しむ小さな庭のようにしたり、ガーデンファニチャーを置いてアウトドアリビングにするのもよいでしょう。お風呂エリアに設置すれば、まるで露天風呂のような温泉気分も味わえます。ドライエリアの壁面や床のデザイン・素材を変えてあげるだけでも、デザイン性の高いオシャレ空間に様変わりするでしょう。
コスト対策を考えよう
ドライエリアを設置する際には、建築コストだけではなく、将来的なコストについても想定しておきましょう。経年劣化などで補修が必要になる可能性がありますし、植栽を植えればその剪定を業者に依頼することもあるでしょう。また、大雨に備えて設置する排水ポンプですが、その寿命は10年程といわれます。放っておくと不具合が出る恐れもあるため、メンテナンスや交換は必須です。後々後悔しないためにも、ランニングコストも考慮しながら計画を立てることが大切ですね。
まとめ
今回は、地下空間を快適にする「ドライエリア」についてご紹介しました。採光や換気を確保しながら、地下室を居住空間として活かせるのが大きな魅力と言えます。コストや雨水対策など考慮すべき点もあるため、ライフスタイルや予算に合わせて最適な計画を心がけましょう。限られた敷地を最大限活用しながら、理想の住まいづくりにドライエリアを取り入れてみてはいかがでしょうか。