陽光が注ぐ、風通しのいいリビング空間


吹き抜けを囲む回廊の一部に配したもう一つのリビング。ここから見渡すテラスの緑が美しい。階段が途中で二手に分かれ、奥の階段はゲストルームにそのまま通じている機能面も優れた間取り。

ダイニングからもテラスが望める。さまざまな角度から光が差し込み、日中はいつも明るいLDK。陽光が反射するつやのある質感のシステムキッチンはパナソニックのラクシーナをセレクト。キャビネットは食器や調理器具のサイズや数をチェックし、無駄なく収納できるよう細かく調整。

近隣の住宅と密接した土地のため、テラスを設けることで距離を保つ。ホームパーティではこのテラスに集まることも多く、N邸のいわば3つめのリビング。ガーデニングが趣味の奥さまにより色とりどりの花が咲くテラス。室内にもグリーンを配し、内部と外部の境界をゆるやかにしている。

1.回廊の西側にはゲストルームを配して。吹き抜けの開放感を最大限に生かすため、手すりはシンプルな黒のスチールを選んでいる。/2.南側の回廊から見下ろしたリビング空間。床は朝日ウッドテックの天然複合フローリングを採用。KFTの光冷暖のパネルをリビングと玄関、寝室と2階のリビングの計4か所に設置した。

3.離れのような造りが印象的な和室は応接間、仏間などさまざまな用途に。漆喰の壁をアーチ状に抜き、モダンなデザインに。廊下の突き当たりのスペースの壁には床のタイルと同系色のタイルを選び、重厚さを演出。/4.二手に分かれる階段の壁はギャラリースペースにし、ゲストの目を楽しませている。

ダイニングの壁面はキャビネットを造作し、間接照明を取り入れ飾り棚のようにプランニング。単調にならないようにと、床やテーブルとは違う質感のチェリー材を選択。

シンプルモダンを追求した和室。公道に面した西側に和室と駐車場を配し、生活空間は奥にまとめた。

晴れた日は外のテラスで過ごす時間も多い。彩り鮮やかな季節の花を無造作に並べ、イングリッシュガーデンのようなコーディネートに。
どの空間にいても夫婦二人でくつろぎを共有できるリビング
生活に変化と豊かさを
もたらす独創的な動線
N邸の特徴はユニークな動線にある。玄関のドアを開くとシンボルツリーが客人を出迎え、離れのような和室へと続く小路、玄関ホールから外を眺めながらゆったりとLDKへと進む廊下、クローゼットからリビングへ直接抜ける通路の3方向に広がっている。毎日生活するご夫婦にとってはストレスなく、招かれたゲストにとっては視覚的にも楽しめる仕掛け。
吹き抜けのリビング空間は圧巻だ。リビングを中心にキッチン&ダイニング、テラス、2階の回廊へと抜け、2階には全体を見渡せるセカンドリビングを設けている。「どこにいてもお互いの気配を感じられる距離感が心地いいですね」とNさん。キッチン&ダイニングは小上がりのように一段上げることで、違うアングルになり見え方が変化し、伸び伸びとした空間にリズムが生まれた。寝室に続く階段以外にもゲストルームに直接つながる2つめの階段を設置。吹き抜けで遮ることでプライバシーが守られ、お互いにリラックスして過ごせる。「大胆な吹き抜けと回廊の途中に配したセカンドリビングは、構造躯体が頑強なSE構法だからこそ可能になったプランです。SE構法は地震に強いのはもちろんですが、設計に自由度をもたらすのがメリット。プラスアルファの、さらに思いつきのような発想もかなえてくれるんです」と三和建設の担当者たちは口を揃える。
最先端の冷暖房システムにより
快適で清潔な環境を保つ
この開放的な空間を快適な環境に保つ輻射式パネル型冷暖房の光冷暖。これは2014年に環境大臣賞を受賞した機能性に優れた冷暖システムで、一般家庭に採用されつつある。遠赤外線の輻射・放射熱を床・壁・天井に伝えることにより、室内全体の温度差を軽減し、冬は暖かく、夏は涼しく保つ。風・音がなくフィルターも不要だ。「木造は寒いと感じていたのですが、エアコンは苦手。光冷暖は埃を気にせず、空気を清潔に保てる点に引かれました」とNさんは振り返る。実際に体感し、納得してから決断していただくため、真冬の時期にモデルハウスに再訪してもらった。室内でスリッパを脱ぎ、部屋の隅々まで足裏で直接床に触れてもらい、非接触温度計で床・壁・天井の温度も計測した。光冷暖を各階に2台ずつ設置しているが、パーテーションのようにさりげなくゾーンを区切る効果も。高性能な断熱材をダブル断熱として使用することに加え、熱移動の効果が得られるよう、1階は漆喰仕上げを採用。漆喰は湿気や臭いも吸収し、梅雨時も快適だ。
段差とあいまいな「間」が
奥行きと抜けをもたらす
離れのように独立した和室は仏間でもある。先祖を祀るその上階で生活するのは控えたいという思いから、この棟は2階を造らず平屋に。主屋の勾配屋根との段差で奥行きが出て、風格を感じる外観となった。「『視線の抜け感』と『空間と空間のあいまいさ』を大切にしました」と設計担当の足立雅哉さん。各所に生まれた程よい「間」はライフスタイルにも変化をもたらしている。パントリーを兼ねた家事室で奥さまがアイロンがけ中も、リビングでくつろぐNさんと会話できる。「孤立することがないので家事が楽しくなりました」と奥さま。逆にNさんはそんな奥さまの姿に接して、積極的に家事に参加するように変化したという。「週末を自宅で過ごすことが多くなりましたね」とNさんは嬉しそうだ。
取材・文/間庭典子
N邸
設計施工 | 三和建設 | 所在地 | 兵庫県尼崎市 |
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家族構成 | 夫婦 | 敷地面積 | 186.51㎡ |
延床面積 | 151.38㎡ | 構法 | 木造SE構法 |