クリエイティビティが光る、カフェ感覚の自由な平屋


リビングの家具レイアウトはあえて固定せず、ソファを庭に向けて置いたり、窓際に並んだデザインチェアを気分のままに並べたりして、フレキシブルに。

キッチンは鮮やかなブルーの壁紙に。カフェで勤務経験があり、バリスタ級の腕前を誇る奥さま。棚の上段は来客用のゴブレットマグ、下段は日常用。

鮮やかな青の壁がLDKのアクセントとなるキッチン。使い勝手のいいトーヨーキッチンのアイランド型は、キズの目立たないエンボス仕上げをセレクト。ダイニングテーブルは、無垢材の形状そのものを生かしたデザインを採用している。

玄関からそのままキッチンにつながる勝手口を設けた。

パントリーの一面もカラフルな壁紙で楽しく演出。好きなものを並べただけ、と奥さまは語る収納棚だが、バランスのいい配置で雑貨店のディスプレーのようにスタイリッシュに。

ウッドデッキと庭は、ゴールデンレトリバーとバーニーズマウンテンドッグ2匹のための広大なドッグランでもある。愛犬との生活がより楽しく、豊かに。

ウッドデッキに家具を移せば、カフェのオープンテラス席のような心地よい場所になる。愛犬の様子を見守りながら読書をしたり、ゆとりの時間も実現。

庭を抱くように囲んだコの字型のW邸。シンプルになりがちな平屋の家に奥行きが生まれ、LDKと寝室には程よい距離感が。

森の中のカフェと見間違いそうな印象的なエントランス。右手には、もともとWさんの釣り用の納戸と作業所として設計されたのだが、今は大型犬2匹の小屋として活用。

玄関正面にはニッチや収納をかねたベンチなどを造作。

1.ドレッサーを兼ねた浴室前の洗面は、余裕のある面積をとった。庭側から直接、浴室に向かえる出入口もあり、部活動から帰った子供たちがそのまま入浴できる動線に。/2.LDK奥の和室は、柔らかなピンクの壁。こもって作業しても疲れないよう、畳座で机に向かえる設計にした。

敷地の東には雑木林がある緑豊かなW邸。子供にも大型犬にも、最高の自然環境。
平屋を広く見せる切妻屋根の勾配天井
奥さまのセンスが各所に光る
フォトジェニックで心地よい家
一面だけ鮮やかな色やモチーフを取り入れたクロスの壁、見せる収納を意識した造作の飾り棚、森のカフェのようなウッドデッキ。どこを切り取ってもフォトジェニックなW邸。絵本の中から飛び出したような、わくわくする空間に心が躍る。それもそのはず、奥さまは1万人以上のフォロワーを誇るインテリア系インスタグラマーなのだ。
雑木林が背後にあるという恵まれた自然環境を生かすべく、アコーディオンのような開口に。伸び伸びとした大空間がウッドデッキや庭と一体となり、空や森に向かって無限大に広がるような心地よさが。開口側にはカリモクの家具やビンテージチェアが並び、その日の気分に合わせて自由にレイアウトを変える。時にはウッドデッキをオープンテラス席として活用することも。人気のカフェのように機能する、レイアウト自在なLDKになっている。
近隣の視線が気にならない自然に恵まれた立地を生かし、開放的な平屋のプランを採用。庭全体を抱くようなコの字型の建物は、寝室とLDKの間に廊下やウッドデッキを介して視線や生活音が気にならない距離感を保った。「平屋の課題は採光や風通しですが、コの字型にすることにより、さまざまな方向からの光や風を取り込めます」と宮部建設の宮部英門社長。「切妻屋根の大胆な勾配天井も、平屋の大空間のアクセントに。床のチーク無垢材フローリングに比べ、軽やかな色合いの杉羽目板仕上げにしています」と、宮部社長は語る。
単調になりがちな白の壁は、構造部分の柱をそのまま見せる真壁造りにして木造建築ならではのぬくもりを表現。玄関への扉は創作和紙をガラスで挟み込んだウォルナット材の框戸にした。キッチンの色鮮やかなブルー、パントリーやクローゼットなど収納スペースのカラフルな壁紙がリズムを生み出している。子供室の一面は、チョークアートを楽しめる黒板に。各所にオープンな飾り棚を設けて、見せる収納で壁を彩るなど、W邸には奥さまのアイデアがちりばめられている。
愛犬2匹のための居場所や
ドッグランで双方が心地よく
無造作で力の抜けたスタイリングは、奥さまのセンスによるもの。造作した収納も的確な位置に配され、絶妙なバランスを生み出している。たった一つだけ、計算外だったことは大型犬2匹との新しい生活。2016年の竣工当時は犬を飼う予定はなく、Wさんの趣味である釣り道具の収納と、魚をさばく調理場を兼ねた西側の空間が今では犬小屋となった。LAの邸宅を模した金網のドッグヤードや、散歩から帰ってすぐに足を洗える水道など、計画時の設備がそのまま生かされている。
森へとつながるウッドデッキは
家族全員が集まれるリビングに
大型犬のため、LDKで一緒に過ごすことはできないが、ウッドデッキが愛犬と一緒に過ごし、遊べる家族全員のリビングのような場所に。森へと続く庭はドッグランにもなり、子供たちの遊び場でもある。お気に入りのチェアを運べば、自分だけのプライベートカフェが完成。家族全員が顔を合わせながらも、それぞれの時間を気ままに過ごせる心地よい居場所となった。
このように高価な家具や特別な素材に頼らなくても、住み手のセンスやアイデアで驚くほど素敵な住まいは実現可能。W邸は、そんな当たり前だが豊かに暮らすための真理を教えてくれる。
取材・文/間庭典子
W邸
設計施工 | イエイエ 宮部建設 | 所在地 | 愛知県小牧市 |
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家族構成 | 夫婦+子供2人+犬2匹 | 敷地面積 | 482.28㎡ |
延床面積 | 119.86㎡ | 構法 | 木造SE構法 |